2023 Fiscal Year Research-status Report
新規レム睡眠促進ニューロン発見に基づくレム睡眠の神経・分子メカニズムの解析
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21K15179
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柏木 光昭 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (40879285)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マウス / 睡眠 / 化学遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の睡眠はレム(Rapid Eye Movement)睡眠とノンレム(non-REM)睡眠という2つのステージから構成される。ノンレム睡眠中には大脳皮質がゆったりと同期した活動を示し徐波と呼ばれる脳波が観察され、ノンレム睡眠中の徐波は記憶の固定などの機能に関わることが示唆されている。その一方、レム睡眠中の大脳皮質の神経細胞は覚醒時と同様に活発な活動を示し、さらにレム睡眠中は急速な眼球運動を伴うなど末梢でも大きな変化が起きる。 睡眠の神経基盤を明らかにしようとこれまで数多くの研究が試みられてきた。本研究ではその中でも理解に乏しいレム睡眠を制御する神経回路の遺伝学的同定を試みた。古典的な薬理・破壊実験からレム睡眠制御に重要とされる橋に着目した。橋で遺伝子組み換え酵素Creを発現するマウスを作製し、Cre依存的にジフテリア毒素を発現するアデノ随伴ウイルスベクターを用い同神経細胞を除去し脳波筋電図解析により睡眠を観察したところ、レム睡眠とノンレム睡眠量が減少していることがわかった。また、神経投射パターンに着目し、その投射先ごとに化学遺伝学を用い活動操作を行った。その結果、レム睡眠とノンレム睡眠の誘導を担う神経細胞の投射先は異なることが分かった。レム睡眠の誘導を担う細胞の上流で働く脳領域の同定にも成功し、さらにはその分子マーカーの同定にも成功した。以上の結果から本研究ではレム睡眠とノンレム睡眠を誘導する新規な神経回路を明らかにすることができた。現在、これらの成果を投稿し査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レム睡眠を誘導する橋の神経細胞のさらに上流で働く脳領域とその分子マーカーを同定できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにレム睡眠とノンレム睡眠の誘導を担う新規な神経細胞集団を同定できた。今後はこれまでに得た知見をもとに、レム睡眠中に生じる大脳皮質の神経細胞の活性化のメカニズムの解析や、レム睡眠中の急速眼球運動など末梢で起こる現象のメカニズムの解析を進める。
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Causes of Carryover |
想定していたよりもはるかに早期にレム睡眠制御細胞の分子マーカーの同定に成功したため、次年度使用額が生じた。今後はこれまでに得た知見をもとに、レム睡眠中に生じる大脳皮質の神経細胞の活性化のメカニズムの解析や、レム睡眠中の急速眼球運動など末梢で起こる現象のメカニズムの解析のための消耗品を購入する。
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