2021 Fiscal Year Research-status Report
比較生物学的アプローチによる脊椎動物の成体脳の再生を制御する分子機構の解析
Project/Area Number |
21K15195
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
清水 勇気 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (30778064)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 神経再生 / ゼブラフィッシュ / メダカ / 遺伝子発現比較 / ラジアルグリア |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、小型魚類であるゼブラフィッシュとメダカは中枢神経系における再生能力が異なることを明らかにしてきた(Shimizu et al., 2021)。本研究課題では、ゼブラフィッシュ-メダカ間で脳損傷後の遺伝子発現変化を比較、再生能力の高いゼブラフィッシュにおける発現上昇遺伝子の抽出、小型魚類およびヒト神経幹細胞を用いた増殖・分化における機能解析により神経再生を促す因子の同定を目指している。本年度の研究実績の概要を下記に示す。 1)中脳損傷モデルを用いた網羅的な遺伝子発現解析:脳損傷後の遺伝子発現変化の比較により、ゼブラフィッシュのみで発現上昇する39の分泌因子を抽出し、そのうち神経幹細胞の増殖・分化について機能が明らかにされていない因子を12個絞り込んだ。 2)ヒト神経幹細胞を用いた増殖促進作用の解析:遺伝子発現変化の比較により絞り込まれた12の因子について、ヒト神経幹細胞に投与し増殖に与える影響を評価した。12の因子のうち、2因子が増殖促進作用を示すことを明らかにした。今後は、分化に与える影響の解析を進める。また、神経再生能が低いメダカに投与し、損傷後の再生促進が誘導されるか検証を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゼブラフィッシュ-メダカ間の遺伝子発現比較により、機能解析が比較的容易な分泌因子を抽出することができ、迅速にヒト神経幹細胞での機能解析を進めることができた。実際に、ヒト神経幹細胞を用いた増殖促進因子のスクリーニングにおいて、促進作用を示す因子を2つ同定することができるなど計画通りに研究を進めることができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、抽出した分泌因子について、ヒト神経幹細胞を用いた分化に与える影響の評価および、メダカを用いた神経再生促進作用の評価を行い、神経再生の促進につながる因子の同定を目指す。
|
Causes of Carryover |
前倒し申請をしたため。ヒト神経幹細胞および小型魚類を用いた機能解析に使用する。
|