2023 Fiscal Year Annual Research Report
比較生物学的アプローチによる脊椎動物の成体脳の再生を制御する分子機構の解析
Project/Area Number |
21K15195
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
清水 勇気 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (30778064)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 神経再生 / 瘢痕形成 / 血管再生 / 比較トランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳損傷1, 4, 7日後および非損傷脳を用いてトランスクリプトーム解析を行い、ゼブラフィッシュ-メダカ間の遺伝子発現比較を行った。PGSEA解析により、ゼブラフィッシュでは損傷1,4日後において炎症応答やJak-Stat経路の活性化が生じ、損傷7日後には低下し、メダカでは損傷4,7日後において炎症応答が活性化していることが明らかとなり、炎症応答が異なることが示唆された。心筋再生におけるゼブラフィッシュとメダカの再生能力の違いとして、炎症応答の違いが報告されており、成体脳における再生能力の違いにも関与している可能性が考えられる。 本研究は、トランスクリプトーム解析をもとに再生能力の異なるゼブラフィッシュとメダカの比較を行い、再生促進因子の探索・機能解析や高い再生能力を制御する分子機構の解明を目指したものである。分泌因子に着目した比較解析により、ゼブラフィッシュで発現上昇する12の因子を抽出し、神経再生促進作用を有する5つの因子と再生に関する作用が未解析な6つの因子が同定された。抽出された分泌因子には多くの再生促進因子が含まれており、比較トランスクリプトーム解析によるアプローチが有用であることが期待できる。実際、機能解析を行った6因子のうち、2因子はヒト神経幹細胞の増殖を促す作用を有していた。さらに、ゼブラフィッシュとメダカにおける再生応答の違いに関わるキーファクターと炎症応答であることが示唆された。Jak-Stat経路はゼブラフィッシュ成体脳や網膜再生において重要な経路の1つであることが知られており、メダカ損傷脳における機能解析が必要である。ヒト神経幹細胞の増殖促進作用を有する因子を同定したが、今後、分化における作用の解析やメダカを用いた機能解析を行い、マウス脳梗塞モデルを用いた機能解析へと展開して行くことを目指す。
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Research Products
(4 results)