2021 Fiscal Year Research-status Report
神経性セロイドリポフスチン症の原因遺伝子欠損に基づくオートファジー新規役割の解析
Project/Area Number |
21K15198
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山口 隼司 順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (30875282)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リソソーム / オートファジー / カテプシンD / p62 / Atg7 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、神経性セロイドリポフスチン症(NCL)のモデルマウスであるカテプシンD(CTSD)欠損マウスの脳内で蓄積する異常リソソームとオートファジーとの関連について解析を進めている。本年は、中枢神経系特異的CTSD欠損マウスの神経細胞内に蓄積するタンパク質と、並行して生じるグリア細胞の変化についての結果をまとめ論文を投稿した。また、所属研究室で開発したIn-resin CLEM法の手技も安定し、蛍光顕微鏡像と電子顕微鏡像の高精度な相関が可能となった。この手法を用いることにより、CTSD欠損マウス神経細胞内に蓄積するユビキチン、p62、NBR1のより詳細な局在について新たな結果を得ることが出来た。 異常リソソームへのオートファジーの関与について検討するため、オートファジー機能不全モデルを掛け合わせた中枢神経系特異的CTSD/Atg7両欠損マウスを作成した。CTSD単独欠損マウスと同様にCTSD/Atg7両欠損マウスの神経細胞内でも、異常リソソームの蓄積や、その表面へのユビキチン、p62、NBR1の集積は認められたが、単独欠損マウスと比較して蓄積する異常リソソームのサイズや頻度に大きな差はなかった。一方で、単独欠損マウスと異なり、二重膜により取り囲まれた異常リソソームは認められなかったことから、異常リソソームがp62やNBR1を介した選択的オートファジーにより処理されるという仮説が支持された。来年度追加の検証を進めながら、これまでに得られた結果を論文にまとめていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中枢神経系特異的CTSD/Atg7両欠損マウスの作成は完了し、CTSD単独欠損マウスで認められる二重膜構造がオートファゴソームである可能性を支持する結果を得た。また、単独欠損と両欠損マウスの比較から、蓄積する異常リソソームの頻度やサイズに大きな違いがないことも確認できた。しかしながら、当初予期していなかった結果も明らかとなり、その解析についても進めていることから全体としての進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、中枢神経系特異的CTSD単独欠損マウスで生じる変化について論文を投稿した。また、中枢神経系特異的CTSD/Atg7両欠損マウスについても、これまでに得られた結果をまとめ、現在論文を作成途中である。所属研究室で開発したIn-resin CLEM法も手技を確立できたことから、来年度はこの手法を用いて、CTSD欠損マウス、及びCTSD/Atg7両欠損マウスで蓄積する異常リソソームの状態の違いについてさらなる検討を行い、異常リソソームに対するオートファジーの役割について解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
同時に取得していた研究活動スタート支援の方の研究費に昨年度分の繰越金が生じたため、本研究課題の予算の一部は翌年度繰り越しとした。次年度繰越金額については、電子顕微鏡試料作製に必要となるダイヤモンドナイフと各種消耗品の追加購入に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)