2021 Fiscal Year Research-status Report
炎症収束性脂質レゾルビンE2の安定化を基盤とした高活性等価体の創出
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21K15215
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤原 広一 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (40837853)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レゾルビン / 構造活性相関研究 / 安定等価体 / 脂肪酸 / 抗炎症活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
レゾルビンE2(RvE2)は非常に強力な炎症収束作用を有するため、新規抗炎症薬のリード構造として注目されている。しかし、RvE2が有するポリエン構造が化学的に不安定であり、酸・塩基、酸素、光などで分解される。さらに、生体内ではβ酸化やω酸化により容易に分解されてしまうため、作用機序の解明や構造活性相関研究が進んでいない。本研究では独自に見出したRvE2の化学的安定等価体であるCP-RvE2とBZ-RvE2に着目し、β位とω位近傍に置換基を導入してβ酸化やω酸化による分解を抑制し、代謝的安定性を向上することで高活性等価体を創出できると考えた。まずは、β位とω位に置換基を効率的に導入できる合成法を確立する。その後、導入した置換基の立体的・電子的性質が代謝的安定性および抗炎症活性に与える影響を明らかにし、β酸化・ω酸化に対して安定で高活性な誘導体の創出を目指した。 今年度はCP-RvE2およびBZ-RvE2のβ位とω位に効率的に置換基を導入できる合成法の確立を目指した。逆合成に従い、CP-RvE2およびBZ-RvE2の合成に必要な3つの重要中間体をそれぞれ合成し、連続的に連結する反応を試みた。しかしながら、反応位置の制御は可能であったものの2回目の連結反応において、活性種が発生しないことが明らかになり合成経路の変更が必要になった。このため、段階的にそれぞれのフラグメントを導入していく合成方法に変更することで、CP-RvE2およびBZ-RvE2のβ位とω位に効率的に置換基を導入できる合成法を確立することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CP-RvE2とBZ-RvE2のβ位およびω位の置換基を効率的に導入できる新規合成経路を確立することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
確立した合成経路を用いて、CP-RvE2およびBZ-RvE2のβ位・ω位置換誘導体を合成し、代謝安定性試験および抗炎症活性を評価していく。
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Causes of Carryover |
参加を見込んでいた学会がオンライン開催となり、次年度使用額が生じた。今後の学会参加費やその旅費に充てたい。
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