2021 Fiscal Year Research-status Report
穏和なアミノビニルシステイン構築を鍵とするチオアミド含有環状ペプチド中分子の合成
Project/Area Number |
21K15216
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大澤 宏祐 東北大学, 薬学研究科, 助教 (20774417)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 全合成 / 天然物 / 環状ペプチド / チオペプチド / (2-アミノビニル)-3-メチルシステイン / 酸化的脱炭酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
環状ペプチド天然物ネオチオビリダミドの世界初の全合成に向けて、翻訳後修飾を受けて構築される鍵構造の構築を検討した。まず、従来法では低収率にとどまっていた(2-アミノビニル)-3-メチルシステイン骨格の合成法の確立を行った。ランチオニン構造を含むトリペプチドをモデル基質に設定し、カルボン酸の酸化的脱炭酸による二重結合形成を検討した。カルボン酸を直接活性化した場合では基質の分解が見られるのみであったが、①活性化エステルへの変換、②脱炭酸反応を経由した脱離基の導入、③塩基性条件でのβ-脱離、をone-potで行うことで、アミノビニルシステイン構造を合成することに成功した。本反応は従来法よりも低温条件で進行し、酸化条件に弱いスルフィドやペプチド合成で汎用される保護基を損なうことなく二重結合を構築することができた。また、合成したアミノビニルシステイン構造は酸加水分解条件下で比較的安定であることがわかり、天然物合成に向けた化合物の安定性に関する知見を得た。 また、鎖状チオペプチドについて、合成したペンタペプチドに対してチオバリンおよびピルビン酸等価体を順次縮合し、Fmoc法による固相合成を達成した。続いて、鎖状チオペプチドの合成中間体を用いて、環状ペプチド部との収束的合成に向けた予備検討を行った。鎖状チオペプチドのC末端側へのアミノ酸の縮合を試みたが、求核性のチオアミドからの分子内反応によるチアゾリン形成が競合することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
天然物合成にも適用でき得る(2-アミノビニル)-3-メチルシステイン形成の最適条件を、鎖状トリペプチドをモデル基質として確立できた。現在、本研究成果の原著論文を執筆中である。 また、鎖状チオペプチド部の固相合成を完了し、環状ペプチド部との収束的連結に向けた検討を開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新規(2-アミノビニル)-3-メチルシステイン構築法に関しては、データを補足して学会および論文発表を行う。また、天然物合成に向けて、イオン性アミノ酸をもつペプチドや環状ペプチドに対する適用を検討する。 また、鎖状ペプチド部と環状ペプチド部の収束的連結に関しては、ライゲーション反応を試みる。現在は、アミド化による構築を予定しているがチアゾリン形成を抑制できない場合は、ライゲーションによるチオアミド化形成も検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウイルスの影響により、情報収集や成果発表を予定していた学会およびミーティングのオンライン開催が相次いだため。 (使用計画)原料供給を迅速に行うため、自動精製用フラッシュカラムの追加購入費に充てる。
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Research Products
(2 results)