2021 Fiscal Year Research-status Report
革新的インドール合成法の開発、全合成を基盤に展開する多角的な創薬研究
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21K15217
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂田 樹理 東北大学, 薬学研究科, 助教 (20772700)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インドール / アルカロイド / オキシム / 全合成 / アマニチン |
Outline of Annual Research Achievements |
令和三年度は、ベンゾシクロブテノンオキシムホナートの環拡大反応を利用した新規トリプトファン誘導体合成法に関して重点的に検討した。その結果、環状ケテンシリルアミナールとベンザインとの[2+2]付加環化反応により、ベンゾシクロブテノンを側鎖に有するアミノ酸の新規合成法の確立に成功した。また、その後の環拡大反応についても問題なく進行することが分かり、計画した新規トリプトファン誘導体合成法の開発に成功した。また、本結果を基盤に、α-アマニチン の合成研究を開始した。まず、システイン誘導体および、単純なモデル基質を用いた検討の結果、確立した新規トリプトファン誘導体合成法が、α-アマニチン のトリプタチオニン架橋の構築に利用できることを見出した。また、実際に本反応を利用して、トリプタチオニン骨格を含む環状ペンタペプチドの合成に成功し、今後、全合成を目指す上で重要な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、オキシムホナートの環拡大反応を利用した新規トリプトファン誘導体合成法に関しては、当初計画した反応が進行することが分かり、反応条件の最適化とともに基質一般性について十分に検討することができた点から、概ね順調に進展していると判断した。また、これにより令和4年度より実施予定であったα-アマニチン の合成研究について時期を繰り上げて、開始することができた。なお、本化合物の合成研究については、当初予定していた鍵反応が進行することが分かり、現在反応条件の最適化等について、重点的に検討している。以上より、α-アマニチン の合成研究についても概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
オキシムホナートの環拡大反応を利用した新規トリプトファン誘導体合成法に関しては、現在の得ている基質一般性等の結果をさらに深め、論文投稿の準備を進める。また、α-アマニチン の合成研究については、環拡大反応前駆体の量的供給経路を確立するために、合成経路を精査する。また鍵となるトリプタチオニン構築反応についても条件検討を進める。以上についての検討を終えたのち、現在得ている環状ペンタペプチドよりさらに合成を進め、α-アマニチン の全合成を目指す。また、令和4年度には、令和5年度に実施予定であった、セレノデュオカルマイシン の合成などを並行して検討し、知見を集める計画である。
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Causes of Carryover |
令和3年度に実施した新規トリプトファン構築法の開発では、円滑に検討が進行したため、合成に用いる溶媒や試薬、分離担体について、当初の計画とし比較して節約することができた。翌年度以降は、余剰分を活用し、当初計画していたα-アマニチンの全合成に加え、アミノ酸フラグメントを置換したアナログの合成や、構造活性相関研究等に必要な試薬等の購入を計画している。
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Research Products
(15 results)