2021 Fiscal Year Research-status Report
遷移金属触媒的C-H官能基化を基盤とするキュバン修飾法の開発とその医薬化学的応用
Project/Area Number |
21K15218
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長澤 翔太 東北大学, 薬学研究科, 助教 (50846425)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | キュバン / 生物学的等価体 / C-H官能基化 / 複素環化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに萌芽的成果を得ていたキュバンのCーHアセトキシ化反応について,その最適化検討を行い,基質適用性の検討を行った.また,得られたアセトキシ化キュバンについて,各種官能基変換を行うことで医薬品ならびに芳香族複素環のキュバンアナログの合成に成功した.これらの成果についてまとめて学術雑誌に投稿し,採択された (Organic Letters, 2021, 23, 8717).本論文はSupplementary Cover Art にも採択された. 一方で,上記結果を踏まえ研究実施計画に記した内容について,以下の結果を得た. 1.キュバンC-H結合の効率的な直截的転換を可能とする配向基の探索を行った.オキシム型配向基を種々検討したが,先述した論文記載のものを上回る効率性を有する配向基を見出すことはできなかった.そこで,オキシム型からの脱却を志向し,他の配向基によるC-H官能基化に実績のある置換基を,先に見出した条件を用いて再度検討した.その結果,特定のアミド型配向基において高い効率性で先述のアセトキシ化反応が進行することを見出した.この萌芽的結果を元に,現在配向基の最適化検討を進めている. 2.分子内C-H官能基化反応によるキュバン縮環型化合物の合成検討を行った.ロジウム等を用いる各種C-H挿入反応や,C-H活性化を経る官能基化を試みたものの,所望の官能基化キュバンを得ることはできなかった.この結果,並びに研究代表者の過去の知見から,これら分子内反応による官能基化はキュバンの特殊な構造的特徴に由来して困難であると考え,新たな分子間反応に基づくC-H官能基化法を探索することとして検討を行った.その結果,新たな分子間C-H官能基化法に基づくキュバン官能基化手法を見出すに至った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
サブテーマ 1. 2. どちらにおいても,当初の計画を変更する結果とはなっているものの,その結果として想定以上の萌芽的知見を得ることに成功しているため.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度見出した2つの新規知見について,これらの最適化検討を進める.一方で,サブテーマの1つである生物学的等価体としての適用可能性評価についても,新規知見を生かした新たな化合物デザインを行い,それらについて評価する.
|
Causes of Carryover |
結局本年度もCOVID-19対策の呼び声のもと,ほとんどの国内学会はオンライン開催となってしまったため,旅費が一切かからない事態となった.また物品費・その他の経費に関しては,萌芽的知見を見出すまでに要した時間が長かったことから新規購入品が抑えられたこと,ならびに器具の故障が少なかったことがあり,およそ50万円程度の次年度使用金を得るに至った. これに伴い,次年度使用可能な研究費が大きく増えたので,研究の加速を企図し,自動精製装置の導入を検討している.
|