2022 Fiscal Year Annual Research Report
精密制御クロスカップリングを駆使した生物活性海洋天然物の革新的合成戦略
Project/Area Number |
21K15219
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梅原 厚志 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (40847018)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 全合成 / 海洋天然物 / ポルチミン / イリジマシド / ケトンカップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的その①申請者が開発した穏和なケトンカップリングを駆使した独自の収束的合成戦略を基に、イリジマシドAの初の全合成を達成する。ケトンカップリングを駆使すればイリジマシドAの全く新しい独自の合成が実現可能だと考えた。この着想のもと、イリジマシドAのアグリコン部合成を行なった。その結果、二度のケトンカップリングが首尾よく進行することを突き止めた [未発表データ]。これは、b-アルコキシヨージドを求核剤として用いる収束的かつ斬新な合成戦略である。合成したケトンはイリジマシドAのアグリコン部の全ての炭素鎖を備えており、本研究達成の実現可能性の高さを実証できた。 本研究の目的その②(a-アルコキシ)スタナンの立体保持Stille型クロスカップリングを駆使してポルチミンの世界初の収束的全合成を達成する。(a-アルコキシ)スタナンのStille型カップリングは複雑な基質への応用例は無く、その有用性は未知であった。申請者は、その実用性に期待した。予備的検討の結果、Stille型クロスカップリングが銅触媒存在下で円滑に進行することを新規に見出した [第64回天然有機化合物討論会にて口頭発表済]。本反応では(a-アルコキシ)スタナンのa位の不斉中心が完全な立体保持で進行した。この結果は、(a-アルコキシ)スタナンのStille型クロスカップリングが高度に官能基化されたフラグメント同士の連結に有用だと示す世界初の例である。これにより、ポルチミンの全合成研究は大きく進展したと言える。
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