2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of multivalent and multifunctional nucleic acids medicines using branching structures
Project/Area Number |
21K15225
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河本 佑介 京都大学, 薬学研究科, 助教 (20869375)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 核酸医薬 / 枝分かれ核酸 / 免疫刺激 / DDS / デンドリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
近年核酸医薬が新しい医薬品モダリティとして注目を集めつつある。その臨床応用を目指して、DNA分子の二重鎖形成を利用して構築する核酸ナノ構造体に核酸医薬を導入する技術が研究されてきた。しかし治療効果を示す前に、血液の陽イオン濃度、pH、体温等に依存して核酸ナノ構造体が崩れる可能性がある。また数十種類ものオリゴヌクレオチドを用いた複雑な設計が必要なこともある。そのため必要な核酸分子の数を少なくすることで構造を単純化し、かつ安定性、安全性ともに高い、核酸医薬の開発が求められている。申請者は、高機能かつ安定性と安全性を両立した核酸医薬の創製を目的として、機能性配列を核酸1分子に複数種導入可能な、共有結合を介したデンドリマー様枝分かれ核酸の開発を進めている。 第1年度に申請者は、免疫刺激を引き起こす核酸医薬に注目した研究を行った。免疫細胞に発現するTLR9に結合して免疫応答を誘導する非メチル化CpG DNAをデンドリマー様に3個または9個配置した枝分かれ核酸を、ホスホロアミダイト法により合成し、その免疫細胞への取り込みと免疫刺激能を評価した。リン酸骨格には医薬品としての安全性向上を目指し、天然型と同様のホスホジエステルを採用した。通常のリニアなDNAと比べてこの枝分かれ核酸は、FBS中でより高いヌクレアーゼ耐性を示した。またマウスマクロファージ様RAW 264.7細胞に処理したところ、枝分かれの数が増えるにつれて細胞への取り込みと細胞からのサイトカイン産生が促されるが分かった。さらに細胞取り込みの阻害剤を用いて細胞取り込みメカニズムを調べたところ、枝分かれ核酸のRAW 264.7細胞への取り込みは、スキャベンジャー受容体を介していることが分かった。この結果は、CpG DNAを一分子中に複数有する多価型枝分かれ核酸が、効果的な免疫賦活剤として機能しうることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者に先んじて米国の研究グループがよく似た内容の論文を発表したこともあり、複数のジャーナルから掲載拒否されたため時間はかかったものの、申請者は前述の結果を第1年度中に論文として発表することができた。これにより、複数の機能性配列を一分子に導入した多価型枝分かれ核酸の有用性を示すことができたため、申請者は1年目の業績としておおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者は枝分かれ核酸の適応範囲の拡大、特にがん治療への応用を目指した研究を進めていく。申請者は抗腫瘍作用を有する核酸医薬及び小分子医薬品を導入した多価、多機能型枝分かれ核酸の開発を進める。また同時に第1年度の結果を踏まえ、枝分かれ核酸を用いることでin vivoを指向した高機能な免疫刺激性核酸医薬の開発を進め、がんワクチンへの応用を目指した研究を進める予定である。これらの研究では、枝分かれ核酸のヌクレアーゼ耐性及び細胞透過性を高めるため、ホスホロチオエートなどの化学修飾を部分的に導入する。 一方で、申請者とともに研究に従事する予定である留学生の入国が、新型コロナウイルスの感染拡大による入国規制とロックダウンによるビザ発給の遅延により、大幅に遅れている。このため、今年度の研究進行に遅れが生じることが見込まれるが、研究指導委託という形式で当該留学生が母国の共同研究先で研究を進めることで、本研究課題の遅延を最小化するよう努めている。
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Research Products
(3 results)