2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of multivalent and multifunctional nucleic acids medicines using branching structures
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21K15225
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河本 佑介 京都大学, 薬学研究科, 助教 (20869375)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 核酸医薬 / 枝分かれ核酸 / アプタマー / DDS / デンドリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
近年核酸医薬が新しい医薬品モダリティとして注目を集めつつある。その臨床応用を目指して、DNA分子の二重鎖形成を利用して構築する核酸ナノ構造体に核酸医薬を導入する技術が研究されてきた。しかし治療効果を示す前に、血液の陽イオン濃度、pH、体温等に依存して核酸ナノ構造体が崩れる可能性がある。また数十種類ものオリゴヌクレオチドを用いた複雑な設計が必要なこともある。そのため必要な核酸分子の数を少なくすることで構造を単純化し、かつ安定性、安全性ともに高い、核酸医薬の開発が求められている。申請者は、高機能かつ安定性と安全性を両立した核酸医薬の創製を目的として、機能性配列を核酸1分子に複数種導入可能な、共有結合を介したデンドリマー様枝分かれ核酸の開発を進めている。 第1年度の結果を踏まえ、第2年度に申請者は枝分かれ構造にアプタマーを導入することで、アプタマーの機能向上を目指した研究を進めた。まず一分子当たりのアプタマーの数を増やすにつれて標的細胞内への取り込みの向上が見られた。次にさらなる生物学的評価に向けて十分なDNAを合成するため、申請者はデンドリマー様DNAの合成法を改良した。従来のデンドリマー様DNA全体を固相合成する方法から、短いDNA断片同士のライゲーション反応に切り替えることで、総収率を最大で約30倍向上させることに成功した。これにより、デンドリマー様DNAの安定的な合成法の確立に成功した。そしてデンドリマー様アプタマーは培養細胞で、同一等量の通常のアプタマーより高い活性を示した。この結果は、デンドリマー様枝分かれ核酸のプラットフォームは、第1年度に示した免疫刺激性非メチル化CpGモチーフのみならず、アプタマーにも適応可能であることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度初頭に新型コロナウイルスが感染拡大したことの影響により、本年度から行う予定であった一部の研究の進行が遅れているが、一方でこれまで十分な量の合成が困難であったデンドリマー様DNAの効率的な合成法を確立したことで、今後のデンドリマー様枝分かれ核酸の研究遂行に弾みをつけることができた。したがって、申請者は第2年度の研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者は枝分かれ核酸の構造の検討を進め、培養細胞等を用いた評価を進めていく。その際、合成の収率、生物学的活性のバランスを考慮して最適な構造を決定する。その情報をもとに標的選択性と細胞内送達に最適なデンドリマー様アプタマーの構造を決定し、それを用いた標的選択的な薬物送達が可能であるか、また通常のアプタマーより搭載された薬物の活性が向上するか調べる。同時に免疫制御性デンドリマー型核酸医薬の研究を進める。
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Causes of Carryover |
想定ほど細胞実験が進展しなかったため。生じた次年度使用額は細胞実験用の試薬の購入に使用する。
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