2023 Fiscal Year Annual Research Report
Chain walking制御による不飽和脂肪酸の位置選択的な官能基化反応の開発
Project/Area Number |
21K15228
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
白井 孝宏 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (80828351)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遷移金属 / 脂肪酸 / 脂質クオリティ / chain walking / 還元的Heck反応 / 位置選択的な反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、遷移金属触媒による二重結合の移動反応(chain walking反応)を制御して、官能基化反応へ展開することで、多様な脂肪酸誘導体を効率よく合成する方法論を開発することである。具体的には、chain walking反応中、アルキル側鎖上を移動する遷移金属種を分子内配向基によって捕捉することで位置選択的な官能基化反応を目指した。本研究プロジェクトを行うにあたっては、独自に保有していた分子内配向基ライブラリー(二重結合の位置選択的捕捉に有用な配向基群)を用いた位置選択的な官能基化反応を検討したが困難を極めた。その一方で、反応系スクリーニングの結果、新反応、還元的Heck反応を見出した。還元的Heck反応は、不飽和脂肪酸に対して、1段階で二重結合をヒドロ官能基化できる反応であり、本プロジェクトの方針、不飽和脂肪酸の位置選択的な官能基化に合致する反応である。そこで、還元的Heck反応の最適化を進め、論文化することが出来た。通常、比較的高い温度条件(100 ℃以上)が必要な先行反応例と比較して、本反応系は室温という温和な条件で進行する。本反応系は還元条件であるが、既存の報告例では難しかった還元されやすい官能基群(ハロゲン、ニトロ、ベンジル基など)を含む基質においても問題なく進行する。本反応に用いる各試薬は入手容易・安価であるため、実用性の高い反応であり、実験室レベルから工業的レベル(医薬品合成の短工程化・効率化など)まで幅広く利用されることが期待できる。本研究は還元的Heck反応に必要なエネルギーの低減だけでなく、産業廃棄物にも分類されるヒドロシランを有効利用できる特徴を有することから、SDGsへの貢献が期待される。
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