2022 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン遺伝子変異が原因の稀少神経難病に対するiPS細胞を用いた創薬研究
Project/Area Number |
21K15231
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
松薗 構佑 自治医科大学, 医学部, 講師 (80809070)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プリオン / ドラッグリポジショニング / 神経難病 / 酸化ストレス / 稀少疾患 / iPS細胞 / フリーラジカル |
Outline of Annual Research Achievements |
PRNP Y162X患者からiPS細胞の作製に成功、さらに神経細胞への分化を行った。当初、患者由来のiPS細胞神経では、異常なプリオン蛋白の凝集がみられることを、予想・期待していた。しかし、ウエスタンブロット法などを含む詳細な解析の結果、PRNP変異iPS細胞神経も健常者と同様、異常なプリオン蛋白の凝集は神経細胞内にはみられないことが分かった。しかし、我々はさらに過酸化水素を患者iPS細胞神経群に添加する実験を行ったところ、患者群では神経細胞生存率が減少していた一方、LDHアッセイで測定した細胞毒性やMitoDipで測定した酸化ストレス反応が増加していた。また、患者群では健常群に比べ、50%以上プリオン蛋白の転写が低下しているDecayの所見を認めた。以上から、PRNP Y162Xでは病態初期に正常プリオン蛋白の発現が低下し、酸化ストレスに対して脆弱になっていること、また正常なプリオン蛋白が神経細胞に強く発現しているのは酸化ストレスに対する耐性獲得のためとても重要であることがiPS細胞の結果で示された。 既に複数疾患で使用されているエダラボンとリコンビナントのプリオン蛋白をそれぞれiPS細胞神経に加えると、脆弱だった過酸化水素に対する耐性改善がそれぞれ認められた。そのため、我々は現実のPRNP Y162X患者に対して、ALSを参考にエダラボンの投与を承認下に行ったところ、体重、栄養状態、神経伝導検査での反応性、MIBG心筋シンチ、24時間での血圧変動いずれの全ての評価項目において、エダラボン投与前に比べ悪化遅延または改善効果を認めた。
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Research Products
(2 results)