2021 Fiscal Year Research-status Report
上皮成長因子受容体により活性化される新規プロドラッグの開発と肺癌治療への応用
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21K15234
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小島 拓之 昭和薬科大学, 薬学部, 特任助教 (20824949)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プロドラッグ / コバレントドラッグ / 抗がん剤 / 上皮成長因子受容体 / 肺癌治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗がん剤は、がん組織だけでなく正常組織にも影響を及ぼすため副作用のリスクが高い。そのため、がん組織で活性型薬物に代謝されるプロドラッグの開発が進められている。しかし、多くのプロドラッグはプロテアーゼの加水分解反応を利用するため、酵素活性を持たない受容体タンパク質への応用は困難である。以上のことから、受容体タンパク質と反応して薬剤を放出するシステムが構築できれば、より多くのタンパク質の中から最適なターゲット分子を選択できるため、安全性と有効性により優れたプロドラッグの開発が可能となる。 我々は、核内受容体との共役付加反応によって、2つの化合物へ分解するクマリン前駆体プローブを開発している。本研究では、クマリン前駆体プローブを受容体阻害薬と抗がん剤を連結するリンカーとして応用し、肺癌組織の上皮成長因子受容体と反応して薬剤を放出する新規プロドラッグシステムの開発を目指している。本化合物は、2種類の薬剤の相乗効果により、がん細胞の強力な増殖抑制が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、EGF受容体阻害薬と抗がん剤をクマリン前駆体プローブで連結したプロドラッグ化合物の合成に取り組んだ。EGF受容体阻害薬であるゲフィチニブの部分構造及び抗がん剤のゲムシタビン、クマリン前駆体プローブを合成し、カップリング反応によってクマリン前駆体プローブと2種類の薬剤を段階的に連結した。クマリン前駆体プローブに対するゲフィチニブとゲムシタビンのカップリング反応の条件検討に予想外の時間を費やしたため、進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
①化合物の脱保護を行なって目的のプロドラッグを合成する。 ②プロドラッグとEGF受容体の反応解析:大腸菌で発現・精製したEGF受容体またはEGF受容体発現細胞とプロドラッグを反応させ、放出されたゲムシタビンを定量することでプロドラッグの反応性を評価する。 ③肺腺癌細胞に対するプロドラッグの抗腫瘍活性と作用メカニズムの解明:プロドラッグの抗腫瘍活性を評価するため、Ki67の免疫染色やMTTアッセイを実施し、細胞増殖抑制効果を解析する。また、TUNEL染色と活性型カスパーぜの定量を実施し、細胞死誘導能を解析する。さらに、プロドラッグの作用メカニズムを解明するため、EGF受容体シグナルとDNA合成について解析を行う。
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Causes of Carryover |
ウクライナ情勢の影響を受け、注文していた試薬が納期に間に合わなかったため。次年度に同一の試薬を購入することとし、未使用額はその経費に充てる。
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