2021 Fiscal Year Research-status Report
ポルフィリンージヒドロニコチンアミド共役型光レドックス触媒の開発
Project/Area Number |
21K15236
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
松岡 純平 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (10884009)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポルフィリン / 触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
光レドックス触媒は、環境調和型の触媒として盛んに研究されている。ポルフィリン金属錯体は、一電子移動により光レドックス触媒として機能することが知られている。しかしながら、従来のポルフィリン錯体では酸化還元できる金属や酸化数に制限があり、より高活性な中心金属の発生には新たなポルフィリン金属錯体が必要となる。本研究では、ニコチンアミド誘導体とポルフィリン金属錯体を組み合わせた触媒の創製と機能探索を目的とした。ポルフィリン錯体を、エステルを有するポルフィリン環とエチレンジアミンをリンカーとして持つニコチンアミドの2つのフラグメントから合成する計画を立て、今年度の研究では、それぞれフラグメントの合成を行った。当初は、既に報告されている方法に従いメソ位にエステルを有するポルフィリン環の合成を試みたものの、酸化剤を大量に必要とすることや試薬由来の大量の副生物が生成する工程があり、スケールアップには不向きであった。そこで、まず新たにポルフィリン環の合成法の開発を検討した。種々検討した結果、ピロールとグリオキシル酸誘導体から二工程を経て、ポルフィリン前駆体であるトリピランが合成できることを見出した。また、本手法は試薬の当量や条件調整することで、非対称のトリピランを簡便に合成できることから、多様なポルフィリン誘導体合成へと展開できる。ニコチンアミド誘導体は、ニコチンアミドから二工程でエチレンジアミンをリンカーとして導入することに成功し合成を完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、令和3年度中にポルフィリン金属錯体を完成させる予定であったが、メソ位にエステルを有するポルフィリン類の大量合成が予想以上に難しく、合成法の確立に時間を費やしたために研究の完成が遅れている。 一方で、ニコチンアミド誘導体と非対称のポルフィリン環の簡便な合成法の開発は順調に進展することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ポルフィリン環とニコチンアミド誘導体のカップリング反応を検討する。令和3年度に確立したポルフィリン環の合成法を基盤として、今年度予定しているポルフィリン錯体の誘導体合成を行う。得られたポルフィリン誘導体の物性について、置換基の影響について評価する。
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Causes of Carryover |
目的化合物の合成に、多くの少量実験による反応条件の検討が必要になった。そのため、合成反応試薬の購入量が少量となったこと、および学会がオンライン開催となったことで、旅費を使用しなかったため残額が生じた。次年度は、大量合成やの誘導体の合成を目指すので、多くの消耗品を購入する予定である。
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