2021 Fiscal Year Research-status Report
エン反応を利用したアリル位炭素-水素結合の自在変換
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21K15237
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒田 悠介 京都大学, 薬学研究科, 特定助教 (60870863)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルケン / エン反応 / アゾ化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、エン反応を利用したアリル位 Csp3-H 結合の位置・立体選択的な官能基化法を開発し、現状では合成が困難なキラルビルディングブロックを簡便に供給する基盤技術の確立を目指すものであり、本研究によりこれまで多段階不斉合成において冗長ながらも定石のごとく扱われていた一連の反応群を革新し、有機合成化学のみならず創薬開発の発展にも寄与することを最終目的としている。本年度は、3つの発見があった。 ①アゾエン反応における溶媒効果:本来アゾ化合物と末端アルケンとのエン反応では、生成物であるアゾエン成績体が基質である末端アルケンと似た反応性を示すことから、過剰反応による収率低下が問題となっていた。今回、含フッ素アルコールが劇的に反応速度を加速するのみならず、収率までも向上させることを発見した。 ②アゾエン成績体のアリル位置換反応:アゾエン成績体と有機金属試薬とのアリル位置換反応をモデルとし、遷移金属錯体のスクリーニングを行ったところ、特定の遷移金属錯体が所望の置換反応を進行させることを発見した。さらに、パラジウム、ニッケル、鉄錯体それぞれが異なる形式の置換反応を触媒することが明らかとなった。現在各反応の収率向上のため反応条件の精査を行なっている。 ③末端アルケンの形式的な1,1-カルボアミノ化反応:上述の②の検討過程において、特定の溶媒を用いた際にアゾエン成績体が遷移金属非存在下で有機金属試薬と反応することを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の2つの研究を推進する。 ①アゾエン成績体のアリル位置換反応において、用いる遷移金属錯体によって異なる位置選択性が発現することを確認している。配位子を検討すうことで収率および選択性の向上を図る。 ②キラル酸触媒やキラルルイス酸触媒による不斉エン反応を行う。
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Causes of Carryover |
【理由】卓越研究員に採用され、そちらでの研究費を優先的に使用する必要があったため。 【計画】 来年度は本研究を効率的に推進させるために必要な物品を積極的に購入する予定である。
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Research Products
(1 results)