2023 Fiscal Year Annual Research Report
酵素変異体-蛍光基質による2価マンガンのシグナル増強型検出法
Project/Area Number |
21K15246
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高嶋 一平 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (50769742)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シグナル増強 / タンパク質工学 / 酵素-基質ペア / マンガン / 蛍光プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では生体内で遊離マンガンの挙動解析を行う技術を確立し、本元素の未知の生体内機能を解明することを目指した。本技術として、マンガンを補因子とする酵素変異体と基質分子のペアを合成し、マンガン存在下でのみ駆動する酵素反応を介したシグナル増強システムを用いる。本課題では、酵素のマンガンに対する選択性、さらに生体内因性酵素などに耐性を持つ特異性の高い基質分子の2点が求められた。前者において、本酵素変異体は複数種の金属が配位可能と思われるが、マンガンのみμMオーダーで酵素反応を駆動(活性化)することができることを確認した。しかし、他の金属種存在下では競合的にマンガンの配位が抑えられるために感度が低下してしまう。そこで、マンガン配位サイトに有するアミノ酸を置換した複数種の変異体を設計した上で、これら変異体をコードするプラスミドを調製した。現在までにマンガン選択的な配位能の高い変異体は抽出できていないが、今後は進化工学的手法も取り入れて検討を進めていく。また基質として、立体的に嵩高い構造を有することで生体内因性酵素に反応しない分子構造を見出した。またシグナル増強型の検出のためには酵素反応で得たシグナル分子が拡散して消失するために、新たに酵素反応後にシグナル分子同士が会合して沈殿するように設計した。一方で本技術では高濃度の基質分子を細胞内へ運搬する必要や光学特性の異なる色素を導入することが困難であるという問題を有した。そこで酵素反応後に近傍のタンパク質に存在する求核性残基に反応して固定化される分子設計を検討している。これら技術開発によって、高感度にマンガンを検出するとともにシグナル分子の蓄積によるシグナル増強型検出の有効性を証明できることが期待される。
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