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2021 Fiscal Year Research-status Report

DNAアルキル化剤による肝類洞閉塞症候群(SOS)発症の機序解明とその予防

Research Project

Project/Area Number 21K15255
Research InstitutionKagoshima University

Principal Investigator

宮原 恵弥子  鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任研究員 (20778427)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2023-03-31
KeywordsDNAアルキル化剤 / シクロホスファミド / ブスルファン / 肝類洞閉塞症候群(SOS)
Outline of Annual Research Achievements

Busulfan (BU)やcyclophosphamide (CY)などのDNAアルキル化剤大量投与後に発症する肝類洞閉塞症候群(SOS)は、発症及び経過の予測が難しく臨床上問題となっている。SOSは、DNAアルキル化剤により類洞内で内皮細胞が脱離することで特に薬剤代謝が活発な小葉を中心に閉塞が生じ発症すると考えられている。これまで何が類洞内皮細胞を傷害するのか、発症に個体差があるのはなぜか明らかになっておらず、完全な発症予防にも至っていない。
これまでの研究で、CY投与後に生じる心筋障害の主因はacroleinで、この産生に関与するaldehyde dehydrogenase1 (ALDH1) の活性が心筋障害発症の鍵となっているのではないかと報告してきた。Acroleinは求電子性の代謝物で反応性が高く、細胞傷害性が強い。またBUも同様の代謝物EdAGを生じることから、DNAアルキル化剤によるSOS発症においてEdAGやacroleinなどの求電子性代謝物の産生とその代謝に関わる酵素が重要ではないかと考えられる。
今回、C57BL/6JマウスにCYを投与、7日後に解剖し、肝臓組織を電子顕微鏡検査で観察した。肝臓実質細胞内に小型の脂肪滴を認め、その中にlamellar体の存在を確認できた。またCY投与により小葉間胆管の萎縮、類洞壁細胞内に脂肪滴とその脂肪滴内にlamellar体が観察された。CY投与後の肝臓中のDi-docosahexaenoyl (C22:6)-bis(monoacylglycerol)phosphate (BMP)の測定を行ったところ有意な上昇は見られず、CYにより生じたリン脂質は、通常の典型的な薬剤誘導性リン脂質症とは異なることが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

CY投与後の肝臓を電子顕微鏡で観察し、小葉間胆管の萎縮、類洞壁細胞内への脂肪滴の蓄積及びその脂肪滴内にlamellar体が生じていることを確認できた。このことからCY投与でリン脂質症が起こることが明らかとなったが、通常の薬剤誘導性リン脂質症時に生じ、バイオマーカーともされる22:6-BMPの上昇は見られず、CY大量投与により通常とは異なるリン脂質症が生じたことが明らかとなった。
以上、実際にマウスにCYを投与してみて肝臓にリン脂質が蓄積し、それが通常の薬剤誘導性リン脂質症とは異なるという新たな知見が得られたことから概ね良好とした。

Strategy for Future Research Activity

C57BL/6JマウスへのCY投与により小葉間胆管の萎縮、類洞壁細胞内への脂肪滴の蓄積及びその脂肪滴内にlamellar体が生じ、CYによる肝臓のリン脂質症が生じていることを確認できた。当初の研究計画では細胞を用いた遺伝子発現抑制実験を予定していたが、今後はまずこのlamellar体の同定、及びlamellar体発生がSOS発症と関連があるのか検討する。

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Published: 2022-12-28  

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