2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜スフィンゴミエリンによるCD8T細胞の分化・機能制御機構の解明
Project/Area Number |
21K15256
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
豊島 かおる 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (80846931)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CD8T細胞 / スフィンゴミエリン / スフィンゴ脂質 / 細胞膜脂質 / TCRシグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜構成脂質であるスフィンゴ脂質は、脂質マイクロドメインと呼ばれる微小領域を形成し、膜を介したシグナル伝達に重要な役割を果たすと考えられている。近年では個々の脂質分子は別々のマイクロドメインを形成し、各々特有の機能をもつと考えられており、脂質マイクロドメインの機能は不明な点が多く残されている。本研究ではスフィンゴ脂質の一つであるスフィンゴミエリン(SM)に焦点を当て、T細胞におけるSMマイクロドメインの生理的機能を明らかにすることで、T細胞の機能異常に起因する疾患に対して、細胞膜脂質成分を利用した新規診断法や細胞膜脂質発現の調節を介した新たな治療法の確立を目指している。 2021年度はCD8T細胞におけるSM発現の生理的意義を解明するため、はじめにT細胞膜上のSM発現を解析した。SM結合タンパクであるライセニンに蛍光標識したものを精製し、解析に用いたところ、これまで明らかにした胸腺細胞(T細胞の前駆細胞)におけるSM発現と同様に、末梢T細胞でもサブセットによってSM発現パターンが異なることを見出した。さらにSMを添加した培地中でCD8T細胞を培養し、T細胞抗原受容体(TCR)を刺激すると、SM濃度依存的な細胞膜上分子の発現量の変化、細胞障害性顆粒の産生低下が認められ、SM発現がCD8T細胞の機能を制御する可能性があることが示唆された。また、SM合成酵素1(SMS1)欠損マウスを用いた解析も進めている。 これらの得られた成果について、国内の学会において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、海外からの試薬購入に時間を要したこと、スフィンゴミエリン結合タンパクの精製を行うための準備に時間がかかってしまったことが原因として挙げられる。しかし、当初の研究計画を大幅に変更しなければならないほどの遅れは生じていない。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に取り組むことのできなかった、T細胞の膜分子とSMマイクロドメインの細胞膜局在解析を行う。また、CD8T細胞におけるSM発現の生理的意義を解明するため、SMS1欠損マウスを用いてマウスインフルエンザウイルス感染モデルやアレルギー喘息モデルを作製し、SMS1欠損T細胞の抗ウイルス効果や喘息抑制効果について解析する。
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Causes of Carryover |
CD8T細胞膜におけるCD8分子とSMマイクロドメインの細胞膜局在解析が実施できず次年度に延期したことにより、その実験に必要な抗体等の試薬の購入を延期したため。今年度は延期した実験を行うための試薬購入を予定している。
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