2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidated a molecular mechanism of hypoestrogenism via BDNF towards radical treatment
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21K15257
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
三反崎 聖 高崎健康福祉大学, 薬学部, 講師 (10453424)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エストロゲン / BDNF / 卵巣摘出 / 筋肉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、エストロゲン低下症の根本的治療に向けて、エストロゲンによるBDNF制御に関する新しい分子機構を解明することを目的とする。本研究の大きな目的の一つであるマウスの骨格筋初代培養細胞によるBDNF活性化薬のスクリーニング法開発に向け、卵巣摘出マウスにおける骨格筋初代細胞の作成に取り組んだ。骨格筋初代培養細胞によるBDNF活性化薬のスクリーニング法の確立は、骨格筋におけるBDNF活性化作用の検討を容易にすることが期待される。そして、エストロゲン低下症治療の創薬ターゲット探索やBDNFを介した筋肉増強に関する研究などスポーツ科学分野への波及効果も大きい。2022年度の研究では、脳内および筋肉組織におけるBDNFシグナルの変化について検討する目的で、脳内における関連遺伝子・タンパク質発現の解析と骨格筋初代培養細胞の作成を行った。 ラット筋芽細胞であるL6細胞および骨格筋初代培養細胞におけるBDNF発現の変化について検討した。2022年度の検討において、L6細胞および骨格筋初代培養細胞を用いてcAMP活性化薬forskolinによりBDNF発現が増加することを観察した。また、卵巣摘出マウスおよび偽手術マウスから作成した骨格筋初代培養細胞の実験では、卵巣摘出マウスより作成した骨格筋初代培養細胞においてforskolinの応答性が低くなっていることが示唆されたため、この点について2023年度では検討を行っていく。 一方、マウス視床におけるBDNFシグナルの変化は観察されなかったため、脳内BDNFシグナルの変化における検討については方策を考え取り組む必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の研究では、脳内および筋肉組織におけるBDNFシグナルの変化について検討する目的で、脳内における関連遺伝子・タンパク質発現の解析と骨格筋初代培養細胞の作成を行った。また、ラット筋芽細胞であるL6細胞および骨格筋初代培養細胞におけるBDNF発現の変化について検討した。当初の計画通り、L6細胞および骨格筋初代培養細胞におけるBDNF発現の変化を観察できた。2023年度は、BDNF発現増加作用をもつ薬物のスクリーニング法の確立に向けた検討を進める。一方、BDNFが脳内視床下部に及ぼす影響を検討するために、マウス視床におけるBDNFシグナルの変化について検討を行ったが、有意な結果は得られていないため、2023年度は計画の変更が必要である。 以上より、概ね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の計画で研究を実施する。 骨格筋初代培養細胞を用いたBDNF活性化薬のスクリーニング法の確立を目指すために、卵巣摘出マウスより作成した初代培養細胞におけるBDNF発現の変化を観察するとともに、創薬ライブラリー等を活用しBDNF発現増加作用をもつ薬物のスクリーニング法の確立に向けた検討を進める。加えて、エストロゲンの筋組織におけるBDNF発現への直接的な関与について検討するために、骨格筋初代培養細胞にエストロゲンを作用させBDNF発現について検討する。 一方、マウス視床におけるBDNFシグナルの変化が観察されなかったため他の脳部位におけるBDNFシグナルの変化を検討する必要がある。候補としては、自発運動に関係していると知られている前頭皮質である。また、自発運動に関係するモノアミンに対するエストロゲンの影響を検討する必要があると考えられる。セロトニンは自発運動に関係することが知られているため、他の脳部位においてBDNFシグナルに変化が観察されない場合には、エストロゲンのモノアミンへの影響を検討する。
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Causes of Carryover |
本研究計画では、2022年度の予算は、学会発表と論文投稿と、BDNF-lucマウスのイメージングによるBDNF発現の経時的な変化を観察する予定であったが、行わなかったため、予定よりも助成金の使用額は少なかった。 2023年度においては、国際学会での発表を予定しており、本研究での成果を世界に向け発信する予定である。また、2022年度に骨格筋初代培養細胞の作成法を確立できたため、2023年度は骨格筋初代培養細胞を用いて卵巣摘出によるBDNFシグナルの変化について検討する。研究の進捗状況によっては薬物ライブラリーを用いたBDNF活性化薬のスクリーニングの検討をしているため、2022年度および2023年度の使用額を合わせた助成金の使用が必要となる。
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