2021 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集技術を用いた消化管吸収・代謝・毒性を予測可能な腸管モデルの作製
Project/Area Number |
21K15264
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
根来 亮介 立命館大学, 薬学部, 助教 (10844045)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / CRISPR-Cas9 / Caco-2 cell / CYP3A4 / UGT1A1 |
Outline of Annual Research Achievements |
医薬品の消化管吸収モデルとしてヒト結腸癌由来細胞株であるCaco-2細胞が汎用されているが、Caco-2細胞は医薬品の代謝に中心的な役割を果たす薬物代謝酵素であるCYP3A4やUGT1A1がほとんど発現しておらず、薬物代謝を評価できないことが問題となっている。また、代謝により毒性が発現するような医薬品を予測することもできない。そのため、医薬品の吸収だけではなく、代謝・毒性を予測できる新たなモデルの構築が望まれている。 そこで、本研究ではゲノム編集技術を用いてCaco-2細胞のセーフー・ハーバー部位であるAAVS1座位などをターゲットにCYP3A4及びUGT1A1を高発現させることのできる遺伝子発現カセットをノックインすることで上記の問題を解決できるか検討する。 2021年度は、研究計画書の通り、ゲノム編集技術を駆使して、AAVS1 座位にCYP3A4発現カセットおよび CCR5 座位にUGT1A1発現カセットの挿入に成功した。CYP3A4・UGT1A1遺伝子が挿入されたCaco-2細胞におけるCYP3A4およびUGT1A1遺伝子発現量及びタンパク質発現量は野生型Caco-2細胞に比べ極めて高い値を示した。遺伝子、タンパク質発現量と一致して、CYP3A4およびUGT1A1活性も野生型Caco-2細胞と比べ極めて高い値を示した。以上の結果より、ゲノム編集技術を用いて、CYP3A4・UGT1A1安定発現Caco-2細胞の取得に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、研究計画書の通り、ゲノム編集技術を駆使してCYP3A4・UGT1A1安定発現Caco-2細胞の取得に成功した。本研究開発のマイルストーンに、CYP3A4・UGT1A1安定発現Caco-2細胞の取得を設定していたが、予定通り達成した。従って、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度も引き続き、ゲノム編集技術を駆使して、Caco-2細胞にUGT1A1*6発現カセットの挿入を試みる。UGT1A1*6 をノックインすることでUGT1A1代謝活性の低下に起因する腸管毒性を予測できるか評価する。モデル薬物として、イリノテカンを使用して、腸管毒性を再現可能か明らかにする。引き続き薬物代謝活性の詳細な評価を継続して行う。必要に応じて、継代による薬物代謝酵素の遺伝子発現量・活性の変化についても評価する。 薬物-薬物間相互座用および薬物-食品間相互作用を予測できるか評価するために、イトラコナゾールやグレープフルーツジュースによるCYP3A4阻害による相互作用を本細胞で再現可能か評価する。
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Research Products
(2 results)