2022 Fiscal Year Annual Research Report
難治性てんかんに対する温度感受性TRPM8チャネルの有効性と病態制御基盤の解明
Project/Area Number |
21K15269
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
森山 博史 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (40816633)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | てんかん / TRPM8チャネル / 脳波 / 細胞外グルタミン酸濃度 / パッチクランプ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度(2022年度)は前年度に引き続き温度感受性Transient Receptor Potential Melastatin 8(TRPM8)チャネルのてんかん発作に対する有効性を薬剤誘発型てんかんモデルで検討した.その結果,TRPM8チャネルを活性化する薬剤はてんかん発作の原因物質の一つであるグルタミン酸の細胞外濃度の上昇を抑制することでてんかん発作を抑制することがわかった.また,TRPM8チャネルを遺伝子的に欠損させたマウスは正常マウスと比べ,てんかん発作を起こしやすいことがわかった.その原因は細胞外グルタミン酸濃度の上昇によるものであった.一方,細胞単位でのTRPM8活性化による抗てんかん作用の解明は今後の課題となった.
研究期間(2021-22年度)全体の成果は,大きく7つあった. TRPM8チャネルを遺伝子的に欠損させたマウスは正常マウスより①てんかん発作を起こしやすく,②てんかん性異常脳波およびてんかん発作が増悪した.また,TRPM8チャネルを遺伝子的に欠損させたマウスは正常マウスより③てんかん誘発剤による細胞外グルタミン酸濃度の上昇が高かった.④てんかん性異常脳波・てんかん発作と細胞外グルタミン酸濃度の上昇は正の相関を示した. さらに,TRPM8チャネルを活性化する薬剤は⑤てんかん性異常脳波およびてんかん発作を抑制し,⑥その作用機序は細胞外グルタミン酸濃度の上昇を抑制することであった.⑦てんかん性異常脳波・てんかん発作の抑制効果と細胞外グルタミン酸濃度の上昇抑制効果は正の相関を示した. 以上の成果から,TRPM8を活性化する薬剤は新規抗てんかん薬の候補であることが明らかとなった.また,TRPM8の活性化による抗てんかん作用はてんかん発作を引き起こす原因物質のひとつであるグルタミン酸の脳細胞外での上昇を抑制した結果であった.
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