2022 Fiscal Year Research-status Report
肝移植後慢性腎障害の早期診断に資する高精度なバイオマーカーの探索
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21K15270
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福田 未音 九州大学, 大学病院, 薬剤師 (50895604)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CKD / バイオマーカー / 肝移植 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
臓器移植において、タクロリムスを中心とした免疫抑制療法の発展は拒絶反応の抑制、すなわち臓器移植の成功率の上昇に貢献してきた。その一方で、タクロリムスによる腎毒性を起因として腎機能障害が進行した慢性腎臓病(CKD)が問題となっている。CKDは、他の臓器移植と比べて肝移植で発症する頻度が高く、その発症は、肝移植患者のQuality of Life(QOL) の低下や死亡率の上昇につながる。しかし、CKD の発症は、推算糸球体ろ過量(eGFR)及び尿蛋白のみで診断されていることから、その診断精度の問題点より、見逃されて症状が進行している場合が多いのが現状である。そのため、CKD を早期に予測するバイオマーカーが渇望されている。本研究では、CKD バイオマーカーとして報告されている尿中低分子蛋白質の検証に加え、尿中生体由来代謝物の網羅的解析(メタボローム解析)、薬物代謝酵素の遺伝子多型と臨床経過を総合的に解析し、高感度かつ特異的のみならず、正確性、確実性をもった肝移植後の CKD 予測バイオマーカーの同定を行うとともに、CKD の早期治療介入の基盤を確立することを目的とした。本年度は以下の検討を行った。 ①タクロリムス投与前、および投与中に経時的に採取した患者尿検体を用いてNeutrophil Gelatinase-AssociatedLipocalin :NGAL、Liver-type Fatty Acid-Binding Protein : L-FABP、human epididymis secretory protein (HE4)、Kidney injury molecule 1(KIM-1)の尿中漏出量をELISA 法を用いて測定を行った。 ②メタボローム解析を行うにあたり、LC-MS/MS法を用いた尿中メタボローム測定系の構築を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予想に反して遠方からの手術患者が多く、移植後に当院に定期受診する患者が少なかったことから、新規サンプル回収が伸び悩んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ELISAにて測定した低分子蛋白質と患者の臨床データの解析を行っていくとともに、メタボローム解析を進めていく。 今年度も引き続き本研究における対象患者より検体を得てデータ収集・解析を実施していく。
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Causes of Carryover |
本年度は新規サンプルの測定に必要なELISAの試薬を購入する予定であったが、新規サンプル回収が伸び悩んだこともあり、当初の予定よりも少ない支出内におさまった。この差額は次年度の測定試薬の購入および学会出張費にあてる予定である。
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