2023 Fiscal Year Research-status Report
Anacetrapibを用いた脳虚血再灌流障害に対する脳保護作用の検討
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21K15274
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
水間 敦士 東海大学, 医学部, 准教授 (60609311)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脂質異常症 / ミクログリア / 脳虚血 / PCSK9 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞モデルマウス(tMCAOモデル)を作成したうえでCETP阻害薬(anacetrapib)投与群とプラセボ群との行動解析による神経機能評価および脳梗塞巣のサイズ の比較を行った。CETP阻害薬を介したPCSK9阻害効果はPCSK9の調節因子であるSREBP2の発現抑制を介した機序で得られることを以前の検討で検証を行っている。 神経機能については投薬群にて有意な改善効果があり、CETP阻害薬を介したPCSK9阻害作用が神経保護に寄与する可能性が示された。脳梗塞巣の評価についてtMCAOモデルおよびdistal MCAOモデル両群においてもプラセボ群と治療群(CETP阻害薬、PCSK9中和抗体)いずれにおいても両群で有意差を認め、神経保護効果を示す結果が得られた。また、2023年度は次のステップとして病理学的な観点でミクログリア活性を介した炎症作用についての抑制効果との関連性についても検証を行ない、M1マーカーであるIba1染色陽性細胞は治療介入群にて有意に減少しており、M2マーカーであるCD206陽性細胞数は治療介入群にて有意に多い傾向が得られたことからPCSK9阻害によるM1/M2局在への影響とそれに関連した抗炎症作用と神経保護作用を示唆する結果が得られた。 最終的にはSREBP2とPCSK9 の急性期脳梗塞への病態の関与を明らかにすることで、PCSK9活性だけでなくSREBP2活性の抑制が新たな治療ターゲットになり、臨床応用が可能となることが期待されるためこれらの検討は重要であると考えている。2023年度はこれらの途中経過報告として日本脳卒中学会にて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床業務との兼ね合いで解析自体は遅れていたが、2024年度内で論文作成に向けての一定の解析は進められると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
切片作成や免疫染色に関しては技術職員に協力を求めて、円滑に進められるように調整を行う。モデルマウス作成に関しては臨床業務の時間調整を行いつつ進め られるように努力する。
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Causes of Carryover |
進捗状況としては概ね予定通りであったが、前年度に購入していた試薬残りがあったことから2023年度消耗品の購入費が抑えられたこと、また学会発表についても国際学会への出席と中間発表が行えなかったことから出張費による支出が予定よりも抑えられたことによる(2024年度に国際学会での発表を予定する)。次年度に引き続きマウスの購入、実験に用いる消耗品(染色用試薬、モデルマウス作成用のスレッドなど)、マウス飼育管理費用として用いる予定 としている。
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