2022 Fiscal Year Annual Research Report
細胞種レベルの解像度で迫る、胎児性アルコールスペクトラム障害の発症メカニズム
Project/Area Number |
21K15275
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
沖川 沙佑美 京都大学, 医生物学研究所, 助教 (60883303)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胎児性アルコールスペクトラム障害 / FASDモデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠中の母親のアルコール摂取は、胎児の発育や脳に悪影響を与え、胎児性アルコールスペクトラム障害(fetal alcohol spectrum disorder;FASD)を引き起こす。アルコールが胎児脳に与える影響は長年指摘されているが、FASDの発症機構は未だ不明であり、その治療法も確立されていない。本研究では、FASDモデルマウスを作製し、アルコールが胎児脳に与える影響やFASDの発症機序を明らかにすることを目的とする。 本年度は、昨年度作製したFASDモデルマウスの行動実験の再現性確認を実施した。作製したモデルマウスを3つの評価指標(Social、Cognitive、Affective behavior)に基づいて評価した結果、アルコール暴露量と表現型の相関関係が示唆された。さらに詳細なサブ解析を加えたところ、① マウスの月齢が高いほど表現型が顕著に表れる、② Social behaviorおよびCognitive behaviorにおいて、雌雄で表現型が異なることを見出した。またマウス頭部CT解析の結果、ヒトFASDで見られる特徴的な顔貌が本モデルマウスにおいても見られた。ヒトFASDガイドラインの診断基準になっているヒトの症状および行動レベルを模倣したモデルマウス作製に成功し、詳細な解析を完了した。 加えて、本FASDモデルマウスの脳サンプルを用いた組織学的解析により、前頭前皮質における形態学的異常を見出した。
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