2023 Fiscal Year Annual Research Report
Phf24に着目した新規てんかん病態メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K15278
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
國澤 直史 大阪医科薬科大学, 薬学部, 助教 (10858096)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Phf24 / てんかん / Gタンパク質共役型受容体 / GABAB受容体 / 代謝型グルタミン酸受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
Phf24は、Gi/oタンパク質共役型受容体に共役する三量体Gタンパク質のαサブユニットの機能調節を担っていることが知られているが、その中枢神経系における詳細な機能は未だ不明である。一方で、Phf24がてんかん病態に深く関与していることが示唆されていることから、本研究ではPhf24のけいれん感受性制御機構を解析してきた。そして、これまでにPhf24欠損ラットのけいれん感受性亢進には大脳皮質、扁桃体、海馬、視床領域の神経過剰興奮が関与していること、Phf24欠損ラットの扁桃体において脱分極刺激時の興奮性神経伝達物質グルタミン酸および抑制性神経伝達物質GABAの遊離機能が亢進していることを報告してきた。また、Phf24欠損ラットにおけるこれら神経伝達物質の遊離機能変化には、Gi/oタンパク質共役型受容体であるGABAB受容体およびグループII型代謝型グルタミン酸(mGlu)受容体の機能異常が関与していることを明らかにしている。 本年度は、Phf24欠損ラットのペンチレンテトラゾール(PTZ)誘発けいれんに対するGABAB受容体作動薬バクロフェン、グループII型mGlu受容体作動薬LY-379268の影響を評価した。その結果、バクロフェンはPhf24欠損ラットのPTZ誘発けいれんに影響を及ぼさなかったが、LY-379268によりPhf24欠損ラットのけいれん強度が有意に抑制された。また、F344(対照)ラットでは、Phf24欠損ラットと比較して、より低用量のLY-379268でPTZによるけいれん行動が抑制された。これらの結果より、Phf24欠損ラットのけいれん感受性亢進には主にグループII型mGlu受容体の機能低下が関与していることが示唆された。 本研究成果より、Phf24を標的とした神経伝達機能の調節が、新たなてんかん治療メカニズムとして有用である可能性が示された。
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