2023 Fiscal Year Research-status Report
プロスタグランジンによる敗血症の病態制御機構の解明および診断・治療への応用
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21K15279
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
前原 都有子 岩手大学, 農学部, 助教 (60825529)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プロスタグランジン / 敗血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までにマウスにリポ多糖(LPS)を投与することで敗血症モデルを作製した。LPSとプロスタグランジンF2α(PGF2α)の受容体阻害剤を投与していないマウス比較し、LPSとPGF2αの受容体阻害剤を投与したマウスでは、敗血症の初期では炎症が悪化するが、後期では炎症および症状が抑制されることを明らかにした。敗血症の初期では、生体防御機構としてマクロファージを主体とする免疫細胞が活性化することで菌の排出を促進させるが、後期ではこれらの細胞活性は抑制され炎症が抑えられることで敗血症の悪化が抑制される。 敗血症の初期に炎症が促進する機序を明らかにするために、マクロファージに着目した。PGF2αの受容体阻害剤を処理したマクロファージにLPSを処理すると、LPSのみを処理した細胞に比べ炎症性メディエーターの遺伝子発現レベルが上昇した。次に、敗血症の好機で炎症が抑制される機序として好中球に着目し、PGF2αの受容体阻害剤が好中球浸潤および抗炎症性メディエーターであるIL-10の産生に与える影響を検討した。PGF2αの受容体阻害剤は、好中球の浸潤には影響を与えなかったが、好中球由来のIL-10産生量を促進させた。以上の結果より、PGF2αの受容体阻害剤を投与することで、敗血症の初期ではマクロファージの活性化を促進することで炎症は促進するが、後期では好中球由来のIL-10産生を促進することで炎症が抑制させることが明らかとなった。 来年度は、より人に近い敗血症モデルやPGF2αの受容体欠損マウスを用いて、詳細な検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
長期海外出張のため、本年度は研究が出来ず、遅れている。来年度、今年度行う予定であった内容について行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子欠損マウスが使用可能な状態である。そのため、昨年度までに見られた結果が、遺伝子欠損マウスを用いての再現ができるのか検討する。また、現在用いているモデルのみならず、より人の敗血症の病態に近い盲腸毛札穿刺モデルでも同様な作用が示せるのか検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は、長期海外出張があったため当初計画のように研究を遂行することができず、未使用額が発生した。
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