2021 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー疾患の根治を指向したTr1細胞誘導性エクソソームの創出
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21K15280
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
松田 将也 摂南大学, 薬学部, 助教 (30783005)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アレルギー / Tr1細胞 / エクソソーム / アレルゲン特異的免疫療法 / 喘息 |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギーの根治療法であるアレルゲン免疫療法を行った個体においては、抗原特異的に炎症を抑制する type 1 regulatory T (Tr1) 細胞が誘導され、抗原に対する免疫寛容が成立する。生体内において抗原特異的Tr1細胞を効率的に誘導することができれば、アレルギーの早期根治が期待できるが、その誘導薬物は皆無である。 エクソソームは、宿主細胞由来のmRNAならびにタンパク質を含有した膜小胞であり、細胞間コミュニケーションに利用される。どの分子がエクソソームに封入されるかは細胞内における発現量に依存する。また、樹状細胞は、活発にエクソソームを分泌する免疫担当細胞であり、それ由来のエクソソームは、宿主細胞が貪食した抗原の運搬能、他の抗原提示細胞に対する向性、ならびに抗原特異的T細胞誘導能を有する。上記知見より、Tr1細胞誘導性サイトカインを高発現させた樹状細胞を抗原刺激することにより得られるエクソソーム(Tr1細胞誘導性エクソソーム)には、Tr1細胞誘導性サイトカインおよび抗原が含有されると考えられる。 そこで、本研究では、上記樹状細胞由来エクソソームの特徴に着目し、Tr1細胞誘導因子を含有したエクソソーム(Tr1細胞誘導性エクソソーム)を作製し、そのTr1細胞誘導能ならびに抗アレルギー作用を詳細に明らかにすることを目的とした。 初年度においては、まずTr1細胞誘導性エクソソームの作製を行うために、Tr1細胞誘導性因子であるinterleukin (IL)-27高発現樹状細胞株の樹立を試みた。マウス樹状細胞株であるDC2.4細胞にレンチウィルスを用いてIL-27遺伝子をトランスフェクションすることで、IL-27遺伝子の発現量を約15倍高めることに成功した。樹立したIL-27高発現細胞株由来のエクソソームにIL-27が含有されるかについては現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス樹状細胞株の入手、ならびにIL-27高発現細胞株の樹立に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立したIL-27高発現樹状細胞株を抗原存在下において培養することで得られるエクソソームにIL-27および抗原が搭載されることを明らかにする。さらに、作製したエクソソームのTr1細胞誘導能および抗アレルギー作用を下記の通りin vitroおよびin vivo実験により明らかにする。 (In vitro実験)OVA特異的T細胞受容体トランスジェニックマウス(DO11.10マウス)の脾臓細胞をTr1細胞誘導性エクソソーム存在下において7日間培養し、OVA特異的Tr1細胞(KJ1-26+ CD49b+ LAG-3+ CD4+ T細胞)をflow cytometryにより検出することで、Tr1細胞誘導性エクソソームによる抗原特異的Tr1細胞誘導能を明らかにする。 (In vivo実験)アレルギー性喘息マウスモデルにTr1細胞誘導性エクソソームを静脈内投与することで、アレルギー性喘息に対する抑制効果を検証する。さらに、Tr1細胞誘導性エクソソームを投与した群の肺内においてOVA特異的Tr1細胞が顕著に増加することをflow cytometryにより明らかにする。静脈内投与による抑制効果が認められない場合には、気管内投与など投与方法を変更し検証を行う。
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Causes of Carryover |
マウス樹状細胞株の入手に時間を要したことから計画通りに実施できなかったため、残額は、次年度使用額に合算し使用することとした。上記合算金は、未着手の実験の遂行に使用する予定である。
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