2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of seed conditioning to improve germination with the aim of increasing production of Bupleurum falcatum.
Project/Area Number |
21K15290
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
渥美 聡孝 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (60453651)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミシマサイコ / 発芽勢 / 栽培研究 / シードコンディショニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は生薬「サイコ」の国産化および安定供給を目指し、ミシマサイコ栽培の最大の障害となっている発芽勢を改善することを目的とする。初年度となる令和3年度には、①ミシマサイコ種子からの発芽抑制物質の探索、②ミシマサイコ種子内における胚の成長に係る因子の探索、③ミシマサイコ種子に対する覆土や籾殻被覆による発芽率の改善作用の検討を実施した。 研究計画に従い、ミシマサイコ種子を用いて各種試験を実施し、①種子からの発芽抑制物質の探索においては、その存在を示唆する既報に従って種子の抽出エキスをレタスの種子に導入する方法で実施した。しかし、既報と同様の発芽抑制作用を再現することは出来なかった。一方で既報とは異なる画分にレタス種子の発芽を抑制する作用を確認し、その画分からはサイコサポニンCおよび化合物Aを単離した。サイコサポニンCには発芽抑制作用自体は認められなかったものの、化合物Aには強い発芽抑制作用が認められたため化合物Aの構造解析を行っている。 ②ミシマサイコ種子内における胚の成長について、種々の条件下でミシマサイコ種子を加温し、その胚の成長について種子を半割後、実体顕微鏡にて観察を行っている。この実験によって、ミシマサイコの発芽勢が悪い原因を特定するとともに、改善策についても提示できる予定である。現在、種子の加温作業は終わり、胚の観察と加温後の発芽までの日数について観察を実施している。 ③ミシマサイコ種子に対して覆土や籾殻被覆を行い、発芽率の改善作用を検討した。その結果、籾殻被覆によって発芽率の改善が認められることを明らかにした。しかし、籾殻被覆では発芽率が最大値に達するまでの期間として約5週間を要するため、籾殻被覆のみでは本研究の目的である発芽勢の改善が困難であることが予想された。 現在は上記研究結果からシードコンディショニング方法を決定するための試験を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、①においては発芽抑制物質の探索においては化合物Aを単離したものの、その量は5mg程度であり、各種機器分析によってデータを得ているが、その解析が困難な状況にある。この問題を解決するために、抽出検体の量を増やし、改めて抽出からやり直す必要性を考えている。②については胚の成長を観察する方法を令和3年度内に確立することができたため、現在は種々の温度条件および加温時間によって最適な胚の成長条件を検討中である。③については実験を終了しており、報告書として査読付き論文に投稿を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は発芽抑制物質に関しての追試験を実施し、発芽抑制物質を明らかにする。また、胚の成長に影響を与える因子を確定し、最適な胚の成長条件を決定したいと考えている。令和5年度に本研究の目的であるミシマサイコの発芽勢を向上させるためのシードコンディショニング方法を確立するため、今年度中にシードコンディショニングを行い、発芽勢の調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス流行の影響で当初旅費を形上していた日本薬学会がオンライン開催となり、参加に係る旅費が不要になったため、余剰金が出た。今年度は感染流行の状況を注視しつつ、余剰金が発生しないよう対応していきたい。
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