2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of gummi formulation for improvement of adherence for pediatric patients
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21K15298
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
田中 紫茉子 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (10559925)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グミ製剤 / スルファメトキサゾール/トリメトプリム配合剤 / 院内製剤 / 服薬アドヒアランス / 小児患者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小児患者における服薬アドヒアランスの向上及び治療効果の改善を目指し、不快な味の薬剤の院内製剤化(グミ製剤)を試みた。 不快な味を有するモデル薬物として、ニューモシスチス肺炎の治療及び発症抑制薬であるスルファメトキサゾール/トリメトプリム配合剤(ST合剤)を含むグミ製剤(ST-G)の処方を検討した。 まずST合剤由来の苦味を抑制し服用性を向上させることを目的に、官能的マスキングを施したST-Gを調製した。糖液及び豚ゼラチンを加熱濃縮してグミベースを調製し、4℃で保存した。ST-G調製時にグミベースを加温溶解し、ST合剤粉砕物、官能的マスキング剤としてココアパウダー(CP)、甘味料及びフレーバーを添加して混合し成形した。調製を①グミベース作成、②ST-G調製の2段階とすることで、薬局及び薬剤部での予製ができる。また調製に特殊な機器を用いず、原料は全て薬局で入手可能であるため、簡便かつ短時間(合計2時間程度)で院内製剤として調製が可能となった。 次に実験計画法を用いた処方設計を行い、グミ製剤の基本処方であるゼラチン、水、糖質の3つの配合比率を変化させ、端点計画により11処方のグミ製剤を調製した。各処方のグミ製剤において、水分活性値(カビの生えやすさ)及び針入度(グミ製剤の固さ)の測定、崩壊試験、含量試験を実施した。さらにグミ製剤の触感について、健康成人10名を対象にvisual analog scale(VAS)を用いて評価(固さ、弾力性、べたつき、総合評価)を行った。本試験は静岡県立大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。 各試験から得られたデータを基に予測式を算出し、等高線を重ね合わせ、最も優れた物性を持つST-Gの処方を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたST合剤含有グミ製剤(ST-G)の調製について検討し、簡便かつ短時間での調製法を確立した。 また、実験計画法を用いた処方検討により、臨床使用上問題がなく、好適な物性を有するST-Gを調製する事ができた。 臨床使用にあたって必要な製剤学的検討はほぼ全てが終了しており、さらに臨床試験準備にも着手している。以上より、全体としてはおおむね順調に推移していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、調製したST-Gの安全性を担保するため、ST-G保存後における一般細菌試験を実施予定である。 また現在、小児患者を対象とした臨床試験を実施するため、共同研究先(大学病院)の倫理委員会に申請中である。倫理委員会の承認後、速やかに小児患者対象試験を実施する。 対象として、2022年~2023年12月までに①化学療法実施予定で、ST合剤を処方された患者、②6-12歳かつ錠剤の服用が困難な患者、③担当医が適切であると判断した患者とする。本人及び保護者から同意取得後、病院薬剤部で調製したST-Gを処方し、服用中及び服用直後の服用感について、VASシートを用いて評価する。さらに、検査採血の残血を用いて、血中薬物濃度を測定する。臨床試験は①既存製剤と②グミ製剤の2期のクロスオーバー試験を行う。 臨床試験により、①既存製剤とグミ製剤の服用性、②各製剤服用時の血中薬物濃度(薬物動態)、③患児及び保護者からの意見を比較検討する。さらに、カルテ調査により、有害事象の有無、治療経過、臨床検査値の変動についても評価を行う。
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Causes of Carryover |
処方検討後に行う保存試験に必要な保存器機(恒温槽)の購入が遅れており、来年度の購入に充てる必要がある。 また、グミ製剤保存用のプラスチック容器(パンタ)は特注品であり、まとめて購入が必要であるため、非常に高価である。現在、業者見積もりまで進んでいるが、こちらも納期が遅れているため、来年度の購入費用とする。
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Research Products
(3 results)