2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the functional significance of vascular endothelial dysfunction in VEGF inhibitors-induced nephropathy
Project/Area Number |
21K15300
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
二瓶 哲 岩手医科大学, 薬学部, 研究員 (30898888)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬 / ベバシズマブ / 蛋白尿 / エンドセリン-1(ET-1) / 血管内皮機能障害 / ヒト糸球体微小血管内皮細胞 / 糸球体上皮細胞 / 腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)血漿中ET-1と蛋白尿の関連性:ベバシズマブ治療を受けた結腸・直腸がん患者を対象に、6か月間の血漿中ET-1、蛋白尿を評価した。治療前、3か月後および6か月後の血漿中ET-1はELISA法を用いて測定した。3か月後および6か月後の血漿中ET-1レベルは、治療前に比べて有意に増加することが明らかとなった。さらに、治療前の血漿中ET-1レベルは、≧Grade2の蛋白尿発生の独立した予測因子であることが示された。また、モデル予測の正確性をROC解析で評価した結果、カットオフ値は1.19pg/mL(感度80.0%、特異度73.3%)であることが示された。 (2)血圧管理と蛋白尿の関連性:ベバシズマブおよびラムシルマブ治療を受けた患者を対象に12か月間の血圧管理、蛋白尿を後方視的に調査した。血圧管理については12か月間の血圧平均値から正常血圧群、Grade1高血圧群、≧Grade2高血圧群の3群に分け、≧Grade2の蛋白尿発生を比較した。血圧管理に応じた3群間と≧Grade2の蛋白尿発生に関連性が示され、正常血圧群で蛋白尿発生が最も低いことが明らかとなった。一方、降圧薬の有無や種類(レニン・アンギオテンシン系阻害薬、カルシウムチャネル受容体拮抗薬)による差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度では、(1)血漿中ET-1と蛋白尿の関連性、(2)血圧管理と蛋白尿の関連性、(3)血管内皮機能と蛋白尿の関連性の3つの臨床研究を計画していた。 (1)および(2)は計画通り実施することができた。 (3)は現在進行中であり、来年度に症例集積が完了する予定である。 また、前年度に引き続き糸球体上皮細胞障害の評価を予定していたが、上記(1)~(3)の遂行のみに留まった。実施できなかった検討項目については、次年度に実施するものとする。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降では、以下の(1)および(2)を計画している。 (1)血管内皮機能と蛋白尿の関連性:ベバシズマブ治療を受ける患者を対象にEndo-PAT2000を用いて血管内皮機能を測定し、血管内皮機能障害と蛋白尿との関連性を検討する。 (2)糸球体上皮細胞障害の評価:in vitroの実験では、糸球体上皮細胞のネフリン発現量をウエスタンブロット法を用いて測定し、ベバシズマブおよびベバシズマブ処理糸球体内皮細胞馴化培地の影響を評価する。また、ヒトの尿サンプルから、尿中ネフリンレベルをELISA法を用いて測定し、ベバシズマブによる糸球体上皮細胞への影響を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、本年度計画していた臨床研究の症例集積が予定よりも遅れていることがあげられる。当該助成金は、主に臨床研究および基礎実験に伴う物品費として使用する。
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