2022 Fiscal Year Annual Research Report
神経活性ステロイド生合成促進剤:抗不安薬へリポジショニング可能な既存薬の探索
Project/Area Number |
21K15304
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
楠瀬 翔一 東京理科大学, 薬学部薬学科, 助教 (60868470)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経ステロイド / LC/ESI-MS/MS / アロプレグナノロン / 抗不安薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度では,前年度開発したLC/ESI-MS/MSを用いたアロプレグナノロン (AP) 分析法により,種々の薬物を投与されたラット脳内APレベルの変動について評価した.検討薬物として,すでにAP生合成の促進効果が知られているフルオキセチンやパロキセチンと同様の部分構造 (アリールオキシプロパンアミン構造) を有し,かつ,その中枢作用にAPの関与が明確でないことを基準として次の4種 (デュロキセチン,ダポキセチン,プロプラノロール,アトモキセチン) を選択した.各薬物を生理食塩水に溶解し,プロプラノロールは20 mg/kgで,これ以外の薬物は10 mg/kgでWistar系雄性ラット (8週齢,n = 6/薬物) に腹腔内投与し,60 min後に脳を採取し,そのAP量を測定した.なお,生理食塩水のみの投与では脳内AP量が0.4 ng/g tissue未満となることを確認している.アトモキセチンの投与後の脳内AP量は全て0.4 ng/g tissue未満であり,有意な変動は認められなかった.一方,デュロキセチン (<0.4-2.7 ng/g tissue),ダポキセチン (1.48-3.83 ng/g tissue) またはプロプラノロール (< 0.40-2.09 ng/g tissue) を投与されたラットでは,脳内APレベルの有意な増大が認められた.以上より,アリールオキシプロパンアミン構造を有する薬物の全てがAPレベル上昇能を有するわけではないが,デュロキセチン,ダポキセチン,プロプラのロールについてはAPレベル上昇能を有することが初めて見出され、脳内APレベル上昇がこれらの薬物の抗不安作用に関与する可能性が示された.
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