2023 Fiscal Year Annual Research Report
薬物代謝酵素と薬物トランスポーターにおける協奏的な遺伝子発現調節機構の解明
Project/Area Number |
21K15308
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
藤野 智恵里 立命館大学, 薬学部, 助教 (30844253)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 薬物代謝酵素 / 薬物トランスポーター / 遺伝子発現調節 / 薬物動態変動要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬物代謝酵素や薬物トランスポーターの遺伝子発現が変動することで医薬品の体内動態が変動し、薬効や副作用発現に影響を与えることがある。本研究では、薬物代謝酵素と薬物トランスポーター両方の遺伝子発現変動に着目し、これらの相互間における遺伝子発現調節の関係性について明らかにすることを目的としている。これまでに、ヒト肝がん由来細胞株HepG2細胞および排泄トランスポーターmultidrug resistance-associated protein (MRP) 2が先天的に欠損しているEisai hyperbilirubinemic rat (EHBR) を用いた実験から、MRP2の発現低下に伴い硫酸転移酵素 (SULT) 1E1のmRNA発現およびタンパク質発現が顕著に低下することを示した。また、EHBRの肝臓において転写因子であるfarnesoid X receptor (FXR) およびliver X receptor (LXR) の活性化が示され、MRP2とSULT1E1における遺伝子発現調節の相互関係のメカニズムを一部明らかにした。当該年度は、MRP2とSULT1E1における遺伝子発現調節の相互関係について理解を深めるべく、反対にSULT1E1の発現低下によるMRP2発現への影響について検討した。HepG2細胞にsiRNAをトランスフェクションしてSULT1E1をノックダウンしたところ、MRP2のmRNAおよびタンパク質発現に増加傾向が認められた。MRP2はFXRの活性化により発現が増加し、SULT1E1はFXRの活性化により発現が減少することが報告されている。従って、MRP2とSULT1E1間にはFXRの活性化を介した相互的な発現調節機構が生じている可能性が考えられる。このような薬物動態関連遺伝子の相互的な発現調節は、薬物動態変動要因の一つになり得ると考えられる。
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