2023 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of the importance of intracellular metabolism in individual differences in drug hypersensitivity using a mouse model of cutaneous adverse drug reaction
Project/Area Number |
21K15311
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
薄田 健史 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (50880689)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HLA / 薬物過敏症 / 細胞内エネルギー代謝 / CD8陽性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は当初の計画通り、アバカビルを投与したCD4陽性T細胞除去HLA-B*57:01遺伝子導入マウス(B*57:01-Tg)および野生型マウスの血清およびCD8陽性T細胞についてメタボロミクス解析を実施し、通常食給餌群と40%カロリー制限食給餌群との比較を通じてアバカビル過敏症発症において重要なエネルギー代謝物・代謝経路の同定を試みた。血清サンプルにおける糖代謝生成物の網羅的な解析により、通常食を投与したアバカビル過敏症発症B*57:01-Tgマウスでは解糖系代謝経路が最も強く変動し血中ピルビン酸も増加することを見出した。CD8陽性T細胞においても同様に解糖系代謝物生成量の増加が認められ、特にピルビン酸生成量の増加が顕著であった。加えてqPCRの結果から、アバカビル過敏症発症B*57:01-TgマウスのCD8陽性T細胞において解糖系代謝の律速酵素の一つであるhexokinase2(Hk2)の有意な発現上昇も認められた。一方で、アバカビル過敏症を発症しない40%カロリー制限食給餌群では、血清・CD8陽性T細胞ともにピルビン酸生成量の増加が認められなかった。また、解糖系代謝の下流に位置するミトコンドリアのピルビン酸輸送体MPCをUK5099で阻害した条件ではアバカビル過敏症の発症が抑制されなかった。これらの結果から解糖系代謝がアバカビル過敏症の発症を制御している重要なエネルギー代謝経路であることが示された。その一方で、アバカビル過敏症発症B*57:01-Tgマウスの血清・CD8陽性T細胞ともにTCA回路の代謝物生成量の変動が認められなかったことから、アバカビル過敏症発症においてTCA回路は関与しないことも示唆された。 さらに今年度は糖質制限食をB*57:01-Tgマウスに給餌した条件も検討した。その結果、糖質制限食給餌群ではアバカビル過敏症発症が抑制される傾向が認められた。
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Research Products
(8 results)