2022 Fiscal Year Annual Research Report
選択的BRAF阻害剤のポドサイト保護・毒性作用を決定付ける真の標的分子の同定
Project/Area Number |
21K15319
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
真川 明将 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 助教 (20827670)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 薬剤性腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
選択的BRAF阻害剤ベムラフェニブの尿細管毒性に関与する標的分子を明らかにするために、アミノ基リンカーを付加したベムラフェニブとNHS修飾ナノ磁気ビーズを反応させ、ベムラフェニブ固定化ナノ磁気ビーズ(Vemビーズ)を取得した。Vemビーズはヒト腎由来近位尿細管上皮細胞(RPTEC)の抽出液と反応させ、プルダウン実験をおこなった。プルダウンサンプルについてSDS-PAGEおよび銀染色で確認したところ、RTPECの膜/オルガネラ画分において3つのバンドを視認することができた。これらのバンドの切り出しをおこない、質量分析法によるプロテオーム解析を実施したところ、2つはミトコンドリア局在蛋白質で、1つは調節因子であることが明らかになった。また、ベムラフェニブのRPTECに対する細胞毒性の特徴を評価するために、アポトーシス・ネクローシス・生細胞アッセイや光学顕微鏡をもちいたタイムラプス観察をおこなった。その結果、ベムラフェニブに曝露後24時間では多くのRPTECは生存しているものの、細胞増殖や運動は停止していることが明らかになった。今後は、ミトコンドリア機能に着目した解析を実施する予定である。このようにベムラフェニブを一例として、がん分子標的薬の腎障害メカニズムを明らかにすることで、医薬品開発における安全性の向上に寄与しうる情報を取得することを目指す。
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