2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of the role of human flavin-containing monooxygenase 5 as a drug metabolizing enzyme
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21K15320
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Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
松本 かおり 城西国際大学, 薬学部, 助教 (20458681)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フラビン含有モノオキシゲナーゼ5 / FMO5 / 薬物代謝酵素 / Bayer-Villiger酸化 / Bayer-Villiger酸化酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
フラビン含有モノオキシゲナーゼ (FMO) は、主として基質構造中のヘテロ原子の酸化反応を触媒する酵素として知られている。ヒト肝臓では、FMO5はFMO3と同レベルのmRNA発現量を有するが、他のFMOファミリーの典型的な基質に対する特異性は極めて低く、その存在意義や役割がこれまで明らかではなかった。近年、ヒトFMO5がBayer-Villiger酸化反応(BVO反応)に関与していることが報告され、これまで不明であった薬物の生体内代謝にも寄与している可能性が考えられた。しかし、FMO5は他のFMOファミリーの典型的な阻害剤で代謝は阻害されず、薬物の生体内代謝におけるFMO5の寄与を検討するには、FMO5発現系ミクロソームを用いた代謝実験以外には有効な手段がなく、FMO5に特異的な阻害剤の発見が求められている。 そこで、本研究ではヒトFMO5で触媒される薬物およびその反応を阻害する化合物を明らかにするために、既にヒトFMO5によりBVO反応を受けることが明らかとなっている抗炎症薬ナブメトンを基準化合物として、ヒトFMO5を阻害する化合物のスクリーニングを行った。阻害剤候補として、Bayer-Villiger酸化酵素(BVMO)の基質と報告されている化合物および類似構造の化合物を選択し、ヒトFMO5発現系ミクロソームを用いてナブメトンのBVO反応に対する阻害の程度を測定した。その結果、ベンジルアセトン、フェニルアセトン誘導体およびアセトインが本反応を抑制し、BVO反応を触媒するFMO5の阻害剤となり得ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の当初の予定では、FMO5によるナブメトンのBVO反応阻害剤の検索を行うとともにナブメトン以外のBVO反応を受ける基質のスクリーニングを行う予定であったが、ナブメトン以外の基質の検討は現在実施中であり、研究進捗はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. ヒトFMO5発現系ミクロソームを用いた代謝実験を行い、FMO5によりBVO反応を受ける基質を検索スクリーニングする。候補基質の酵素速度論的なデータ (KmやVmax) を算出し、FMO5によるBVO反応のベンチマーク基質の検索を検討する。 2. FMO5によるBVO反応の候補阻害剤を用いてベンチマーク基質の阻害試験を行い、ナブメトン以外の基質に対するIC50や阻害定数 (Ki) を求めて、フェノタイピング試験で使用できる阻害剤を見出す。 3. ヒトFMO5は微生物由来のBVMOに相同性を有する可能性があることから、ヒトFMO5とBVMOの基質の代謝様式の類似性を比較し、BVMOのヒト代謝酵素(ヒトFMO5)代替法としての可能性を検索する。更に、動物肝ミクロソームで代謝実験を行い、ヒトと動物の種差を検討する。
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Causes of Carryover |
当初の予定していた計画よりも研究進捗はやや遅れており、若干の未使用額が生じた。次年度使用額は酵素源等を購入する消耗品費として使用予定である。
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