2021 Fiscal Year Research-status Report
Impact of the individual variance of eicosanoid disposition on the development of idiosyncratic liver injury
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21K15326
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
島田 紘明 近畿大学, 薬学部, 講師 (40783444)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エイコサノイド / 肝臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬物による特異体質毒性は個人差が大きく発症の予測が困難である。本研究では特異体質性毒性として惹起される肝毒性や心毒性、アレルギー反応と密接な関係にあるエイコサノイドに着目し、エイコサノイド体内動態の個体差が薬物による特異体質毒性発症の個体差に与える影響を明らかにすることを目的とした。その第一段階として、本検討では肝臓における内因性エイコサノイドの動態調節機構について研究を遂行している。肝臓において各種エイコサノイドがどの程度の割合で産生されるか不明であるため、令和3年度は健常ラットの肝S9画分におけるエイコサノイド産生の経時変化および各種エイコサノイドの産生量比較を行った。 肝S9画分中でアラキドン酸添加によりシトクロムP450 (CYP)、リポキシゲナーゼ (LOX)、シクロオキシゲナーゼ (COX)経路を介して産生されるエイコサノイド11種類について産生を評価した。産生したエイコサノイドはLC-MS/MS十分定量可能であったが、エイコサノイドによって反応液中からの有機溶媒による抽出効率が異なるため、全エイコサノイドを効率よく抽出可能な至適有機溶媒を検討した。これまでにヘキサン/酢酸エチル (3:2)溶液により各種エイコサノイド類が効率よく抽出されることを確認した。またラット肝S9画分中で各種エイコサノイドはアラキドン酸添加後に経時的に産生され、特にCYP経路により産生されるepoxyeicosatrienoic acids (EETs)がLOXやCOX経路により産生されるエイコサノイドよりも顕著に多く産生されることが示された。また四塩化炭素誘発性肝障害を惹起した個体における肝組織中および血中エイコサノイドの定量を行い、肝障害惹起よりも前に一部のエイコサノイド量が顕著に増大することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、肝組織中の各種エイコサノイドを網羅的に定量するために、各種エイコサノイドの抽出およびLC-MS/MSによる定量法を確立した。また、健常ラットのみではあるが肝S9画分における種々のエイコサノイド産生量を明らかにできたことから、今後は特定のエイコサノイド産生阻害条件下における種々のエイコサノイド産生への影響や、肝毒性惹起時の種々のエイコサノイド産生への影響の解明に進展が期待できる。肝障害モデルについては四塩化炭素により作成した。当初計画ではラットで惹起予定であったが、肝障害の惹起が困難であったことから、同じ齧歯類であるマウスを用いて肝障害モデル動物の組織および血中エイコサノイドの一斉定量を行った。肝障害に伴い顕著に増大したエイコサノイドの産生を阻害した際の組織および血中エイコサノイド量および肝障害に対する影響を評価について、今後はマウスを用いて研究を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
健常ラット肝S9画分における特定のエイコサノイド産生阻害により、他のエイコサノイド産生に対する影響を明らかにする。特に産生量の多かったCYP経路を阻害することにより、肝障害の抑制に関わるCOX経路のエイコサノイド、肝障害の増悪に関わるLOX経路のエイコサノイドへの影響を評価する。 健常ラットにおける肝組織中細胞外エイコサノイドを、in situ肝還流法により定量する。また、各種エイコサノイド産生阻害条件下in situ肝還流法を行うことで、特定のエイコサノイド産生が抑制された条件下でエイコサノイドのインバランスが惹起されるか検討する。
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Causes of Carryover |
当初計画していたよりも消耗品類の購入額が抑えられたため、わずかに使用額が余剰となった。次年度に各種エイコサノイド産生酵素阻害条件下におけるエイコサノイドインバランスを検討する目的で、エイコサノイド産生酵素阻害薬の購入を予定している。
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Research Products
(4 results)