2021 Fiscal Year Research-status Report
発生過程におけるSbno1のニューロンのエンドソームでの新規分子機能の解明
Project/Area Number |
21K15331
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
井原 大 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40884367)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Sbno1 / 神経発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトのゲノム解析からSBNO1が孤発性等小郷失調症などの精神疾患や正常な脳の発達に重要であることが示唆されている。しかしながら、ニューロンにおけるSBNO1の機能について研究報告はなされていない。我々は先行研究として、Sbno1の大脳皮質特異的な欠損によって大脳皮質の形成不全が観察されることを明らかにした。さらに大脳皮質のSbno1のニューロンにおける欠損は神経突起の短縮化を呈することが明らかになった。そこで我々はSbno1のニューロン伸長・成熟化における機能を解析した。まず我々はSbno1の分子機能について情報を得るために、マウスの大脳皮質を用いて、Sbno1に結合する候補分子のプロテオミクス解析を行った。その結果、エンドソームに関連した分子が多く同定され、その中でニューロン特異的な膜タンパク質であるNsg1とNsg2がSbno1に結合する可能性を見出した。エンドソーム輸送はニューロンの形態形成や神経伝達に関わっている。そこで、本研究ではSbno1のニューロンにおけるNsg1とNsg2とのタンパク質間相互作用を解析し、この分子間相互作用のエンドソーム輸送における役割を解析する。これにより、Sbno1がエンドソームを介してどのようにニューロン形成に寄与するのか明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回の研究において、我々はSbno1のエンドソーム輸送への機能に着目した。LC/MS解析の結果から、Sbno1のエンドソームにおける機能が強く示唆されたが、実際にマウスのP0大脳皮質を用いてSbno1の細胞内局在を観察したところ、エンドソームにおけるSbno1発現は観察されなかった。また、強制発現系によってSbno1とNsg1およびNsg2の強制発現による免疫沈降を試みたところ、お互いのタンパク質間相互作用は確認されなかった。そこで我々は研究方針を転換し、Sbno1の核内における機能に着目するため。
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Strategy for Future Research Activity |
Sbno1の細胞内局在が核に限局していることから、今後の研究方針を核内のSbno1機能に焦点を当てたものに切り替える。既に、Sbno1のパートナー候補として、LC/MS解析の結果から得られたZbtb1、Zfp366、Nacc1が挙げられる。これらの分子はBTB/POZドメインを有する転写調節因子であり、Sbno1が転写制御に関わっていることからも結合パートナーとしての可能性がある。まず我々はこれらの転写調節因子をクローニングし、免疫沈降法ならびにビアコア解析によって、個々のタンパク質間相互作用の二次スクリーニングを行う。次いで、これらの分子によって制御されるSbno1の直接の下流遺伝子をcut and run sequencingによって解析する。得られた候補分子の欠損によってニューロンの神経突起の伸長および成熟化における影響を評価する。
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Causes of Carryover |
当該年度の所要額に大きな差は生じなかったが、研究の方針展開に伴い、学会発表や論文投稿にまだ時間を要するために、旅費の割合が減少した。
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