2023 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺機能の回復を目指した唾液産生・唾液腺形成メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K15336
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
海堀 祐一郎 摂南大学, 薬学部, 助教 (70845776)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 唾液腺 / ケモカイン / 分化 / 唾液 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞走化性因子であるケモカインCCL28は、大腸、唾液腺、乳腺といった外分泌腺組織に恒常的に発現しており、CCL28の主な機能は、これらの外分泌腺の粘膜組織への形質細胞や好酸球を適切に配置することである。このように、CCL28は免疫系細胞の「動き」を制御している一方で、CCL28が「動かない」上皮組織に及ぼす影響は全くの未知である。そこでCCL28高発現組織である唾液腺を調べたところ、CCL28欠損マウスの唾液腺において、粘液性唾液の産生量が減少することを見出した。唾液腺は、主に唾液産生を司る腺房細胞と唾液の通り道である導管上皮細胞から構成されている。唾液腺組織を詳細に観察してみたところ、CCL28欠損マウスでは導管の数が有意に減少しており、また、腺房細胞が導管に混在する様子が認められた。さらに、CCL28欠損マウスでは、唾液腺幹細胞のマーカー分子であるEpCAMやc-Kitの発現量も有意に低下していたことから、CCL28欠損マウスでは幹細胞数の減少により適切な分化が行われず、未成熟な唾液腺組織が構成されたことで唾液産生が減少したと考えられる。これらの事から、CCL28は唾液腺の機能や口腔内環境を推し量るマーカー分子の候補となり得ることが示唆される。 また、上記解析を派生させて、個体レベルで唾液産生を誘導する食品素材を探索したところ、醗酵食品である「よもギュット」が唾液産生を亢進し、口腔内の細菌叢の多様性獲得に寄与することを見出した。
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