2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K15348
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山下 愛美 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (80750637)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 速筋と遅筋 / アセチルコリン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゼブラフィッシュは受精後24時間までは遅筋を、48時間以降は速筋と遅筋を用いて泳ぐ。そのため、受精後24時間までの個体と48時間以降の個体に薬剤を投与し、効果に違いがあるか調べた。すでに受精後24時間の個体では効果が弱く、48時間以降の個体では効果が強い、すなわち、遅筋への効果は弱く、速筋に選択的に効くと考えられる筋弛緩剤も同定している。さらに中枢神経系や自律神経節に発現しているアセチルコリン受容体の阻害剤等も用いて、速筋あるいは遅筋特異的に効果がある薬剤の同定ができた。 HEK293細胞にヒトのアセチルコリン受容体(AChR)、一つは速筋型ともう一つは遅筋型を発現させ、筋弛緩剤の効果に差があるか検証した。人間の筋は速筋と遅筋とが混在しており、速筋と遅筋とを区別できないが、HEK293細胞を用いることで速筋と遅筋の神経接合部がAChRサブユニット構成の違いにより区別して再現できる。ヒトAChRのサブユニット遺伝子はすでにクローン化しており、HEK293細胞に導入すると細胞膜に発現しアセチルコリンに反応して電流を発生することも確認している。行動実験において、速筋に特異的に効果がある筋弛緩剤を発現系で用いたところ、期待通りに速筋型アセチルコリン受容体が阻害されることがわかった。 今後、速筋もしくは遅筋のみを特異的に抑制できた場合、今までとは異なる、速筋と遅筋との機能的区分に関する新しい知見が得られることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行動実験において速筋特異的に効果がある薬剤を用いて、発現系においても速筋型アセチルコリン受容体の阻害効果が大きいことが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在使用されている筋弛緩剤はすべて速筋優位に効果があることを示唆するデータが得られている。今後遅筋に特異的に効果がある薬剤を探索する際には、筋肉以外のアセチルコリン受容体に作用する中枢神経系や自律神経節アセチルコリン受容体の阻害剤を使用して同様の研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通りの購入を行ったが、一部他の研究との共通試薬等があり、新たに購入する必要がなくなった物品があったため、次年度使用額が生じた。次年度はさらなる候補薬を検討するため、新たな薬品の購入に使用予定である。
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