2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K15348
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山下 愛美 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (80750637)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遅筋と速筋 / アセチルコリン受容体 / 筋弛緩剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゼブラフィッシュは受精後24時間までは遅筋を、48時間以降は速筋と遅筋を用いて泳ぐ。そのため、受精後24時間までの個体と48時間以降の個体に薬剤を投与し、効果に違いがあるか調べた。受精後24時間の個体では効果が弱く、48時間以降の個体では効果が強い、すなわち、遅筋への効果は弱く、速筋に選択的に効くと考えられる筋弛緩剤を複数種同定している。 そのような薬剤の中でも特にPancuroniumに着目して解析を行った。ゼブラフィッシュの遅筋と速筋からホールセル記録を行い、速筋の方がPancuroniumが効きやすいことを確認した。ゼブラフィッシュにおいては速筋と遅筋でアセチルコリン受容体のサブユニット構成が異なることが知られており、上記効果の違いはアセチルコリン受容体のサブユニット構成の違いによるものではないかと考え、アフリカツメガエルの卵細胞に速筋型アセチルコリン受容体と遅筋型アセチルコリン受容体のサブユニットを発現させ、アセチルコリン投与によるPancuroniumの阻害効果を測定したところ、やはり速筋型アセチルコリン受容体においてPancuroniumの阻害効果が強いことがわかった。 速筋と遅筋におけるアセチルコリン受容体のサブユニット構成の違いはゼブラフィッシュにおいては報告されているが、マウスやヒトなどにおいては確認されていない。ヒトアセチルコリン受容体においても同様の効果があるか確認するため、HEK293T細胞にヒトアセチルコリン受容体を発現させ同様の実験を行ったところ、ヒトアセチルコリン受容体においても速筋型においてPancuroniumの阻害効果が強いことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋弛緩剤であるPancuroniumが速筋特異的に効果があることを調べ、論文受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在使用されている筋弛緩剤はすべて速筋優位に効果があることを示唆するデータが得られている。今後遅筋に特異的に効果がある薬剤を探索する際には、筋肉以外のアセチルコリン受容体に作用する中枢神経系や自律神経節アセチルコリン受容体の阻害剤を使用して同様の研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行により、子供の保育園の休園が相次ぎ、予定通りの研究計画を進めることができなかった。現状では速筋特異的に効果がある薬剤の探索は進んでいるが、遅筋特異的に効果がある薬剤の探索は進んでいない。そのため新たなターゲットを広げて阻害剤を購入する予定である。
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