2022 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞における膜蛋白質の新規なapical膜局在化機構の解明
Project/Area Number |
21K15364
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神田 朗 九州大学, 医学研究院, 助教 (10814650)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 上皮細胞 / apical膜 / 極性輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
消化管や腎臓尿細管などの管腔面を覆う上皮細胞は、栄養物の吸収や老廃物の排泄、微生物感染に対する宿主防御など様々な生理機能に役割を果たす。上皮細胞がこれらの機能を発揮するためには、上皮細胞に発現する膜蛋白質が上皮細胞特有の細胞膜領域(体外環境に接するapical膜または体内環境に接するbasolateral膜)に特異的に局在する必要がある。本研究では、私が最近見出した新規な制御因子(私はこれをNoxIBARと名付けた)に注目をして、膜蛋白質がapical膜に局在化するための新しい分子機構を明らかにすることを試みた。本年度は、膜蛋白質をapical膜へ局在化させるために必要なNoxIBARの機能・性質について検討を行った。その結果、NoxIBARが持つ(1) BARドメインを介した脂質二重膜を変形させて管状構造を作る性質、および、(2) GAPドメインを介した低分子量G蛋白質のGTPase活性を促進する働きが必要であることが明らかになった。さらに、興味深いことに、NoxIBARは天然変性領域を持ち、上皮細胞のapical膜直下にて液-液相分離による液滴を形成することを示唆する結果を得ることができた。またその一方で、NoxIBARは、本研究の大部分の解析で用いたイヌの腎上皮細胞株MDCK細胞に加えて、その他の上皮細胞株にも発現が認められることも示すことができた。昨年度に得られた結果と併せて本研究では、上皮細胞に発現する一群の膜蛋白質は、NoxIBARによって形成されるapical膜へ運ばれるよう制御された管状の運搬体の作用により、apical膜に局在化できるようになる可能性を明らかにすることができた。
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Research Products
(1 results)