2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒト腫瘍組織を利用した、腫瘍の遠隔転移に関与する癌細胞ー基底膜接着因子の探索
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21K15381
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
河合 瞳 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (50895026)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 浸潤性粘液性腺癌 / 遠隔転移 / 接着因子 / 細胞膜タンパク / モノクローナル抗体 / 免疫沈降 / 質量分析 / 免疫組織化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌の遠隔転移の初期段階では癌細胞が基底膜から遊離する。肺癌は経気道散布による肺内転移を起こしうる癌腫で、経気道散布の状態では、癌細胞は脈管など周囲の細胞から修飾を受けておらず、遠隔転移の初期段階の状態と考えられる。肺癌の中でも浸潤性粘液性腺癌(invasive mucinous adenocarcinoma, IMA)は経気道散布が高い頻度で起こる。そこで、本研究では、IMAの手術検体から採取した凍結検体を用いて、IMAの細胞膜に発現するタンパクを網羅的に解析し、癌細胞-基底膜の接着に関与する接着因子を同定することを目指した。先行研究にて、IMAから抽出した細胞膜タンパクを移植したマウス由来のハイブリドーマが合計207個同定されており、その中から免疫組織化学的にIMAの細胞膜に陽性となるクローンJ04の抗原同定を試みた。J04と、肺腺癌細胞株A549を用いたウエスタンブロットの結果、200kDaの高さにバンドが検出された。A549から抽出した細胞膜タンパクとJ04を用いた免疫沈降を行い、質量分析で免疫沈降サンプル内に含まれるタンパクの同定を行った。免疫沈降は国立研究開発法人医薬基盤・健康栄養研究所に委託した結果、116個のタンパクが免疫沈降サンプルで同定された。陰性コントールで同定されるタンパク43個を除外し、Gene ontologyを用いて抗原候補の絞り込みを行った。細胞膜に発現し、細胞接着に関するタンパク質である抗原候補を15個同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同定された15種類の抗原候補の中から、既知の分子量がJ04のウエスタンブロットの結果と近いタンパクXを更に絞り込むところまで完了している。タンパクXについては、複数の異なる抗原決定基に対する抗体が市販されており、それぞれについてウエスタンブロットや免疫沈降、免疫組織化学の条件検討まで完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
Xについて、市販抗体を用いて、肺腺癌細胞株における機能解析や、肺腺癌の組織標本での免疫組織化学的検討を行い、細胞間の接着・遊走や、臨床病理学的因子(特に浸潤・転移能)と、Xの発現との相関について今後検討していく予定である。
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Research Products
(2 results)