2022 Fiscal Year Research-status Report
Tissue clearing法を用いた消化器癌の新たな転移経路の提唱とその病態
Project/Area Number |
21K15396
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
吉澤 忠司 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (70761071)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胆管癌 / 浸潤性膵管癌 / 神経周囲浸潤 / 組織透明化 / 三次元画像解析 / Tissue clearing |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き、高悪性度消化器癌の代表である胆管癌・浸潤性膵管癌外科切除標本を用い、組織透明化による、癌組織における神経新生、癌細胞の神経周囲浸潤の3次元画像解析を行った。 胆管癌組織では、組織透明化法を用いた3次元画像解析により、癌細胞が神経周囲腔を連続性に広範囲に伸展する像を明らかにした。また、通常の病理診断(2次元)では捉える事が困難である、胆管壁表層における神経新生像とともに、胆管壁表層から癌細胞が神経周囲浸潤を起こし、胆管壁深層の太い神経に伸展する像も確認することが出来た。今回、3次元画像解析により明らかになった癌の神経周囲浸潤像は新たな癌の局所再発因子、遠隔転移経路となり得る可能性を示唆するものである。本結果は論文としてまとめ、論文投稿中である。さらに、神経新生と神経新生因子との関連を調べるために、免疫染色(NGF: Nerve growth factor)を用い、神経新生(癌領域の神経の体積、表面積)と染色強度を比較検討すると、有意な正の相関があることが確認された。 浸潤性膵臓癌組織では、通常の病理組織標本(2次元)では、血管の太さ、分岐等の詳細な検討は困難であったが、3次元の血管形態の解析を行うことにより、腫瘍組織では、血管分岐数の減少が観察され、逆に血管径が増加していることが明らかになった。膵癌組織では間質の線維化が顕著であることから、腫瘍領域における、線維化が、血管形態に影響を及ぼすことが示唆された。このような血管形態の変化は、抗癌剤の耐性にも影響を及ぼしている可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高悪性度癌の代表である、胆道・膵臓癌の予後因子である癌細胞の神経周囲浸潤の三次元画像解析を行うことにより、実際の人体組織中で生じている神経新生、癌細胞の神経周囲腔での癌細胞の進展像を明らかにすることができた。 当初は、リンパ節転移巣を用いた転移経路を組織透明化を用いた三次元画像解析で行う予定であったが、病理診断に必須であるリンパ節の生検体を入手することが困難であり、本年度は、ホルマリン固定標本を用いた組織透明化を用いた解析を行った。しかし、ホルマリン固定後の標本では組織透明化による詳細な三次元画像解析が困難であり、現在組織透明化方法の改良を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、三次元画像解析で得られた癌と神経との関連に関わる因子に関して、空間・領域特異的トランスクリプトーム解析を用い、神経周囲浸潤する癌細胞に特異的に発現する遺伝子解析を行う予定である。 リンパ節転移巣に関しては、組織透明化方法の改良を進めていく予定である。
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Research Products
(7 results)