2021 Fiscal Year Research-status Report
小型肺腺癌のプロテオミクス解析より見出された悪性化に関わるタンパクの機能解析
Project/Area Number |
21K15398
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
臺 知子 筑波大学, 附属病院, 研究員 (20835194)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺腺癌 / EEF1A2 / CRABP2 / AK4 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺腺癌には主にTerminal respiratory unit(TRU)より発生し、AAH(atypical adenomatous hyperplasia), AIS(adenocarcinoma in situ), MIA(minimally invasive adenocarcinoma), 明らかな浸潤癌へと多段階的に増悪する。一方、日本人の肺腺癌のドライバー遺伝子の約半数はEGFR変異であるが、前癌病変であるAAHや上皮内腺癌であるAISにおいても浸潤癌同様な頻度でEGFR変異が見つかることから、初期肺腺癌においてはEGFR変異の他に何らかの別な因子が加わることで悪性化を引き起こすと考えられる。EGFR変異のあるAIS, MIA, 小型浸潤癌においてプロテオミクス解析を行い、これまでにEEF1A2, CRABP2, AK4が進行に伴って発現の亢進があることを見出している。EEF1A2は卵巣がんの発症に重要であることや、遺伝子増幅が報告されており、TCGAデータベースからは肺腺癌においても同様に増幅がおこっていることが示されている。CRABP2はレチノイン酸に結合し、細胞質から核に輸送する働きをもつ。FABP5/CRABP2の発現の比により、細胞の増殖または分化という対極の機能をもつとの報告もある。CRABP2は肺腺癌においてこれまでに報告があるがレチノイン酸と関係や悪性化にどうかかわっているのかは不明である。AK4はミトコンドリアに局在し、AK4 が ATF3 をダウンレギュレートし、転移と関連していることが報告されている。これらのタンパクが初期肺腺癌においてどのように悪性化と関わっているのか、また高発現の原因について調べていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TCGAデータベースよりEEF1A2とCRABP2は遺伝子の増幅が予想される。EEF1A2が免疫染色で高い発現を示した症例についてqPCRでコピー数の解析を行ったところ、全ての症例ではなかったがコピー数が増加している症例が認められる。さらにコピー数の増加が認められた症例についてEEF1A2特異的プローブを用いてFISHを行ったところ増幅が認められた。症例の収集と試薬の入手に時間がかかり、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、これらのタンパクについて増殖能や浸潤能等の機能について解析を行っていく。
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