2021 Fiscal Year Annual Research Report
急性炎症巣の病態形成におけるサイトカイン活性化CD8T細胞の中心的役割の解明
Project/Area Number |
21K15399
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小林 実喜子 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (20736491)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高サイトカイン血症 / CD8 / 自然免疫 / 細胞傷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
感染症などによりサイトカイン群が過剰に上昇して全身に重篤な症状をもたらすサイトカインストームの状態では、凝固異常や物質の透過性亢進が顕著な問題となる血管内皮細胞傷害が病態の中心に位置づけられる。この血管内皮傷害には、一般には好中球や単球など自然免疫を担う炎症細胞が関与しているとされている。一方、細胞傷害活性をもつリンパ球の一種でサイトカイン依存的に抗原非特異的に活性化される bystander CD8陽性T細胞 の存在が近年明らかになった。しかしながらサイトカインストーム下における血管内皮傷害に、このbystander CD8陽性T細胞が関与しているか否かついてはいまだ未解明である。 令和3年度は、高サイトカイン血症によって発症する急性呼吸促拍症候群(ARDS)/びまん性肺胞障害(DAD)の病態形成に焦点を当て、 本病態に bystander CD8 が関与しているか否かを形態学的に検討した。 敗血症などで急性呼吸促拍症候群(ARDS)/びまん性肺胞障害(DAD)を起こして死亡した患者解剖例の肺組織材料を用いて、免疫組織化学的に肺に浸潤するリンパ球の形質とその量を検討した。 その結果、浸潤するリンパ球は CD3>CD20、CD8>CD4 であり、抗原依存性に活性化した CD8 のマーカーである CD25 や PD-1 に陽性の細胞は CD8陽性細胞数に比べて少なかった。 急性呼吸促拍症候群(ARDS)/びまん性肺胞障害(DAD)に浸潤する炎症細胞は、好中球やマクロファージなどの自然免疫を担う炎症細胞が多く浸潤していることが知られているが、リンパ球もそれなりに浸潤しており、さらに浸潤するリンパ球は抗原非依存性に活性化された自然免疫を担うとされている bystander CD8 が多く浸潤している可能性があることが観察できた。
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