2022 Fiscal Year Research-status Report
新規反応性関節炎モデルマウスの創出と病態メカニズムの解析
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21K15411
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
太田 光俊 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (60849149)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 反応性関節炎 / モデル動物 / 慢性炎症 / IL-6 |
Outline of Annual Research Achievements |
反応性関節炎(ReA)は消化管感染などの後に発症する無菌性関節炎として知られているが,その病態メカニズムは不明で明確な診断基準はなく,治療についても定まっていない.本研究の目的は,新規ReAモデルマウスを作成し,その病態メカニズムを解明するとともに,診断に有用なバイオマーカーを同定することである. 2022年度の研究実施計画は,①サルモネラ経口感染後の血清エクソソームがReAを引き起こすかどうかを精査すること,②エクソソームによるIL-6アンプを介したReAの発症メカニズムを解明すること,③エクソソームを精査し,ReAの診断に有用なバイオマーカーの同定に着手することであった. ①については,新規ReAモデルマウスの血清エクソソームを抽出し,未感染F759マウスに投与してクリニカルスコアの評価を行った.エクソソーム投与後にクリニカルスコアは有意に増悪した.さらにqPCRと免疫組織染色によってIL-6の発現増強やNF-κB標的分子の発現増強を確認したほか,STAT3,NF-κBの活性化が確認され,IL-6アンプが活性化され慢性炎症状態にあることを示した.②については,新規ReAモデルマウスの血清エクソソームを抽出し,BC-1,ATDC-5,MEFに対して添加し,qPCR,ELISA,ウェスタンブロッティング(WB)での評価を行った.エクソソーム添加によりIL-6やNF-κB標的分子の発現増強が見られた一方,NF-κB阻害薬の追加により発現増強効果が抑制された.このことから,新規ReAモデルマウスの血清エクソソームはNF-κB経路を介してIL-6アンプの活性化を引き起こしていることが示唆された.③については,抽出したエクソソームの妥当性についての評価をWBについて行いつつ,質量分析法での精査を進めている段階である. これらの結果について,今後学会発表を予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように,新規ReAモデルマウスの血清エクソソームが関節炎クリニカルスコアを増悪させることを確認し,さらにそのメカニズムとしてIL-6アンプの活性化,特にNF-κ経路の活性化が関与していることが示されている. 現在行っている,抽出したエクソソームに対するWBや質量分析についてはすでに手技が確立されており,間もなく実験結果が得られる見込みである.これらの点から,当初の計画通り,研究は順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,抽出したエクソソームに含まれる病因物質の検索を行い,ReAの診断に有用なバイオマーカーの同定を試みる予定である.
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Causes of Carryover |
ReAモデルマウスからのエクソソームの抽出に時間を要し,質量分析検査が未実施なったため次年度繰り越しが生じた.次年度には検査可能となる見込みであり,現在のところ研究に遅延はないと考えている。
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