2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K15417
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
加藤 大祐 三重大学, 医学部附属病院, 医員 (70887364)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | Tenascin-C / 炎症 / リンパ管新生 / インテグリン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、リンパ管新生が炎症反応の収束に重要であることがわかり、リンパ管新生促進因子であるVEGF-Cなどについて多く研究がなされている。一方でリンパ管阻害因子の働きについてはあまり分かっていなかった。我々は細胞外マトリクスの1つであり炎症反応を増強させる Tenascin-C (TNC) にリンパ管新生阻害作用があることを発見した。本研究ではリンパ管新生阻害因子であるTNCとリンパ管新生の関係を炎症モデルマウスで検討し、炎症時におけるリンパ管新生のnegative regulationの重要性を明らかにする。 TNC-KOマウスを用いてリンパ浮腫モデルを作成すると、WTに比べTNC-KOマウスではリンパ管新生が促進され、炎症の収束が早まることが分かった。またリンパ管のドレナージ機能もTNC-KOマウスで改善していた。マトリゲルを用いたin vivoのアッセイではTNCを含んだマトリゲルではリンパ管新生が抑制された。 リンパ管内皮細胞を用いたin vitroの検討では、TNCはリンパ管内皮細胞の増殖抑制、アポトーシス誘導、管腔形成/スフェロイド形成の阻害に関わる事がわかった。またTNCのリンパ管内皮細胞に対する負の作用にインテグリン、TGF-β受容体、p38 MAPK/ATF-2が関与することも分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンパ浮腫モデルマウスの作成に関して、手技による動物間のばらつきが少なく、安定した結果が得られやすかった。そのためマウスでの検討は計画書に記載した内容に近い結果が比較的早く得られた。またin vitroの検討でも仮説通りTNCがリンパ管に対して負に作用する事がわかった。シグナル解析に関しては少し難航したが、インヒビターを用いた検討でTGF-β受容体やp38 MAPKシグナルといった経路が関わる事が分かった。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画書に記載した内容については大部分が達成できたと考えている。論文作成を行っていくと共に、今後はTenascin-Cのリンパ管新生に関する働きがリンパ浮腫モデル以外の炎症モデルでも確認できるか検討を行っていく。
|