2021 Fiscal Year Research-status Report
新規ミクログリアiSMGと血管反応に着目した脳梗塞巣組織ダイナミクスの解明
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21K15423
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
澤野 俊憲 立命館大学, 生命科学部, 助教 (60805597)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ミクログリア / 脳梗塞 / 虚血誘導性幹細胞 / 血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、壊死組織である脳梗塞巣内に虚血誘導性幹細胞(iSCs)が出現し、それが脳梗塞巣内でミクログリアに分化している可能性を示してきた。これらのミクログリアをiSCs derived microglia (iSMG)と名付け解析を行ったところ、iSMGは既知のミクログリアと比べて血管発達関連遺伝子群を豊富に発現しており、iSMGが脳梗塞巣内の血管リモデリングに関与している可能性が示唆された。さらに、この血管リモデリングは脳梗塞巣を血行性に脳外へ排出する機構に関与しているのではないかと考え、検証を進めている。 脳梗塞巣を経時的に観察すると、脳梗塞巣の血管内皮細胞が血流が途絶えているにも関わらず、一時的に増殖能を亢進させていることが確認できた。従って、脳梗塞巣では血管新生が促進されている可能性が示唆された。さらに、ミクログリア除去剤を投与することで、この血管内皮細胞増殖が著しく抑制されたことから、脳梗塞巣内に出現したiSMGが脳梗塞巣内における血管新生を促進している可能性が示された。新生された血管は脳梗塞巣を血行性に脳外へ排出するためのルートを提供しているのではないかと予想し、脳梗塞後の末梢血成分の変化を経時的に測定した。その結果、脳内において豊富に認められる髄鞘の構成成分が脳梗塞後に末梢血中で増加していることを確認した。脳梗塞を発症してから一定期間を経ると脳梗塞巣は消失するが、それはiSMGによる排出ルートの構築によって実現している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の土台となるデータを取得することができ、次年度以降の研究見通しを明確化できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに薬剤を用いてiSMGを除去することで脳梗塞巣内の血管に変化が生じることを確認できたが、その作用がiSMG除去によるものでなく、薬剤の非特異的作用である可能性は否定できない。また、脳梗塞巣の排出状況を末梢血中の髄鞘構成成分を検出することで評価しているが、この指標が真に脳梗塞巣の排出状況を反映したものであるかについても確認の必要がある。今後はiSMG移植によるレスキュー実験や培養実験を組み合わせることにより、これまでに得てきた観察結果に対する解釈が正しいものであるかについて慎重に検証を行っていく必要がある。
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Causes of Carryover |
前倒し請求額が10万円単位であるため、前倒し請求分から未使用額が生じた。実験動物の購入と培地等の培養関連消耗品の購入に使用する。
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Research Products
(6 results)