2021 Fiscal Year Research-status Report
レトロマー複合体を基軸とした赤痢アメーバの病原因子輸送機構の解明
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21K15426
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 菜月 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (00883323)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Retreomer / Vps / membrane traffic / phagocytosis |
Outline of Annual Research Achievements |
Vps35a,b,d,e, Vps26a-f, Vps29発現株のうち、免疫沈降実験を行なっていなかったアイソタイプのHAタグ付き発現株を用いて、免疫沈降したサンプルのプロテオーム解析を行った。その結果、レトロマー複合体にはいくつかのまとまりがあることが明らかとなり、現在までに存在が予想されている2つのまとまりをレトロマーα、レトロマーβと名付けた。Vps35a,b, Vps26a-e, Vps29の発現抑制株を樹立し、細胞の膜分画をBluNaive-PAGEにより分離したのち、抗Vps26抗体で検出した。その結果、構成される複合体のサイズが変化することが明らかとなった。さらに、Vps35a,b遺伝子発現抑制により、エンドサイトーシス効率、貪食効率が減少した。Vps35bにおいては過剰発現株で、細胞内外のプロテアーゼの活性が高くなっていた。これらの結果から、Vps35aとVps35bはエンドサイトーシスと貪食に関与するが、Vps35bのみプロテアーゼ輸送に関与することが明らかとなった。これはそれぞれのアイソタイプが異なる働きを持つことを示しており、申請者の仮説をサポートする結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アイソタイプ特異的結合が確認されたSNX3やRab-GAPのHAタグ融合タンパク質の発現株の樹立は行ったが、これらの機能解析がまだ行えていない。前述の実績の部分で言及した、エンドサイトーシスや貪食の効率、プロテアーゼ活性の測定の方法の確立や、条件検討が必要となり、データ取得までに時間がかかってしまったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策(800文字) 樹立したSNX3, Rab-GAP発現株の解析を行う。具体的には、局在観察、結合分子の同定からこれらによる病原性への関与を明らかにする。また、ライブイメージングを用いるために、GFP融合タンパク質発現株を作成しLive imagingを行う。さらに、SNX3とRab-GAPの遺伝子発現抑制株を樹立し、Vps26,29,35各アイソタイプの局在を観察する。これらの実験により、SNX3とRab-GAPがレトロマーを介してどのようなことに関わっているか、その機能が明らかとなる。
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Causes of Carryover |
昨年度、開催予定だった学会がCOVID-19の影響によりオンライン開催となり、旅費としていた予算を使わなかったため。また、先述した問題点があるため、まだ必要な解析を行うことができていない実験が多い。次年度、適切な条件検討の後に実験を進め、さらなる解析等を行う際に予算を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)